「秘密裏に力を蓄えたかった、というところでしょうか。王国や、他の自治区に対して」
 アーネスが的確に指摘した。クレメンテは苦笑する。
「敵わんな。王国騎士団の騎士隊長ともなると、腕が立つばかりではないらしい」
「お褒めに与り、光栄です」  言葉は堅苦しいながら、アーネスは伯爵に向けてにやりとしてみせた。







「これね、私の推論なんだけど」
 前置きをして、クラリタは右手の人差し指を立てた。
そして彼女はぐいと身を乗り出し、おもむろに口を開く。 「ここね、地の集局点じゃなかったと思うの」
 その言葉に、セリオルは卒然とする。仲間たちも水を打ったように静まり返った。

「……なるほど」






第112話