前を向いて独り言のようにそんなことを言っているサリナを見て、セリオルは思った。
本当にまっすぐな、良い娘に育ってくれた。
ダリウとエレオアには感謝してもし足りない……
自分がそう思うことはお門違いだと自覚しつつも、そんな気持ちを抱かずにはいられなかった。

「ちょっとは自分でも考えてくださいね、サリナ」
「うっ……はい」



第29話