試練の迷宮はきわめて複雑で、きわめて単純なつくりをしている。
通路、階段、扉、部屋が無数に配置され、立体的に入り組んでいるが、
それらすべてがひとつの巨大な空間の中に収まっているのだ。
それらは土もしくは石で造られていて、
その大空間の壁面に配された魔法の燭台によって煌々と照らされていた。










「なんだろう、これ」
 しゃがんで台座を見つめ、サリナは疑問を口にした。
土でできているようで、ところどころ乾燥のためかひびが入っている。
天板は平らで、台の側面には文字なのか模様なのか判別し難い幾何学的な文様が刻まれている。




5人はリストレインを台座に置いた。









鋭く届いたのはカインの声だった。アーネスは目を開いた。
床に立つ巨大で無骨な足が見えた。
 瞬時に立ち上がって身を翻し、彼女は剣と盾を取り上げた。顔を上げる。
そこには大男の身体に獰猛な雄牛の頭を持った魔物がいた。
魔物は巨大で凶悪な棍棒を振りかざしていた。


第30話