流れ落ちる汗を拭って、カインは毒づいた。
場慣れした戦士である彼は、戦闘の際にも常に余裕を忘れないことを心がけている。
しかし今ばかりは、とてもゆとりを持った戦い方は出来なかった。



「……貴殿はそんなことまで感じ取ることが出来るのか」
 感心したような、疑っているような、微妙なニュアンスでアーネスは言った。
その間にもフェリオの弾丸が襲来する。
アーネスは盾を掲げてその凶弾を防いだ。弾は弾かれて飛び、石の天井にめり込んだ。






その獣を包む琥珀色の光と酷似したものを、サリナたちはよく知っていた。
彼女たちに力を貸す、神なる獣の纏う光。
「そんな、まさか……」

 それ以上の言葉を、サリナは発することが出来なかった。
圧倒的なマナを感じ、身がすくむ。




第33話