アーネスは王都で接していた時の厳しい顔ではなく、優しい微笑を浮かべていた。サリナは困惑した。
「あの、アーネスさん」
「ん?」
組んだ膝の上に頬杖をついて、アーネスはサリナを見ていた。
綺麗なひとだなと、サリナは思った。
「そっか……。私たち、負けたんだね」
ミルクの入ったカップを両手で包むようにして持って、サリナは俯き加減で言った。
消え入りそうな小さな声だった。
第43話