ふたりが彼女に向けて手を上げる。
「さあ、行きましょうか、サリナ」
「マキナへ向けて、元気良くな」
 ふたりに、サリナは微笑んだ。彼女は嬉しかった。
あれだけの力の差を見せ付けられても、誰ひとり黒騎士との戦いに後ろ向きになっていない。
もしかしたら、誰でもない彼女自身が最も肩を落としていたのかもしれない。


第52話