「ひゃひゃひゃ。だめだぜサリナ、君にはフェリオがいるんだからな」
「えっ!?」
 ぼっ、と音を立てて顔から火が出たようだった。
湯上りの火照りが夜気で冷めかけていたのに、顔にだけ一気に戻って来たようだった。
サリナは咄嗟に両頬に手を当てた。熱い。
「なな、なななっ」







僅かに開いた扉の隙間、その下部。そこから顔を覗かせていたのは、緑色の魔物だった。
細長い棒のような顔と胴体に、同じ太さの腕と脚。
その全てが円柱型であるように見える。
そしてその奇妙な身体に、細長い針のようなものがくっついている。






第54話