「なんという、凄まじい力だ」
 倒れながら、ジャボテンダーは呟いた。まだ力尽きてはいないようだった。
ゆっくりと上体を起こす。そして彼は、サリナを見た。
 それは幻覚だった。なぜなら、彼が頭を振るとそれは消えたからだ。
 しかし、彼は確かに見た。
炎の鎧を纏った少女の小さな背に、
一対の真紅の翼がはためくのを。



そして彼は、それを悟った。「そうか! そなた、そなたが、運命の子か!」



第58話