「エルフって、昔話に出てくるあのエルフか?」
 相変わらず頭の後ろで手を組んだままで、クロイスが質問した。それに答えたのはセリオルだった。
「世界樹を守る種族と言われていますね。統一戦争以来、人間とは関わってはいないはずですが」







「神晶碑は、創生の時代にフェニックスが創ったものだ。
その役割が、お前たちのエリュス・イリアのマナバランスを保つことであるのはもう知っているだろう」

「ええ。なんとかそこまでは」

 神晶碑の残骸の上で渦を巻く風のマナを見つめながら、セリオルが相槌を打った。
それに頷いて、ヴァルファーレは続ける。
「本来はそれが神晶碑の役割の全てだった。
しかし400年前、我らが考えもしなかったことが起こり、神晶碑はその役割を追加された」




第59話