彼女は横目でちらりとフェリオを伺った。
黙々と料理を口へ運んでいる――と、
彼は自分を見つめるサリナに気づいた。目が合う。

「ん、どうした?」

「なな、なんでもないっ」





 慌てる必要は無いはずなのに、サリナははたから見てもわかるほど慌てて、
顔と手をフォーに戻した。箸で麺を挟み、口へ運ぶ。味がわからない。
 なぜか速くなる鼓動にどぎまぎしながら、サリナは考えていた。

フェリオは、どうだったんだろう。
これまでに、女の子と付き合ったことはあるのだろうか……。





「ゼノアが例の、ブラッド・レディバグを飛ばしてる可能性もあるしな。急がねえと。カジノのためにも」

「カジノのためって何だよ」



第74話