「まさか初心者に負けるとはね……僕もまだまだ訓練が足りなかったようだ」
そう言って右手を差し出してきたランスロットは、いかにも誠実そうな好青年だった。
年齢はクロイスよりも若干上というくらいだろう。サリナやフェリオと同じくらいに見える。
差し出された右手を握って、クロイスはにやりとしてみせた。ランスロットは頬を緩ませる。
激戦を戦い合ったふたりは、友情にも似た感情を抱いていた。クロイスは思った。
出来ることなら、またレースに参加してみたい。
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第79話
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