「クポ〜。待つクポ〜。返すクポ〜」
 そのフェリオの前をモグがふわふわと飛ぶ。彼はどうやら、ソレイユを追いかけていた。ソレイユはその口に、モグのポシェットをぶら下げている。
ソレイユはその気になれば高速で飛行することが出来るはずだが、
ゆっくりしか飛べないモグに合わせて飛んでいる。明らかに追いかけっこを楽しんでいた。





サンクはその両開きの扉の前に立った。
これを開けば、民衆の前に姿を現すことになる。
彼の永年の夢、民族の融合。
アクアボルトの民たちによる、アイユーヴの歓迎。
それを形にすることが出来るかどうか、その第一歩が、ここからようやく始まる。




第90話