「先に行きなさい、サリナ。皆は私が連れて行きます」
 そう言って、セリオルが背中を押してくれた。仲間たちを振り返って、サリナは頷く。
「はい!」

 サリナはアイリーンの背に乗り、走った。
村人の誰にも会わなかった。懐かしい友人たちの顔も見たかったが、誰もいない。
誰ひとり、歩いていない。こんなフェイロンは、見たことが無かった。








第95話