第123話

 山岳の街。ドノ・フィウメ自治区首都、ドノ・フィウメはそう呼ばれる。峻険な山の中に建設され、街は山肌に沿って広がっている。高低差が大きく、また街の中には深い谷があり、そこをユーフラテス大河へ注ぐ川がいくつかの段差を作って流れている。
 大きな高低差を、人々は川の水力を利用することで上手く解消し、生活を送っている。谷川を整備し、人工的に落差を作っていた。そこに水車や滑車などの大掛かりな装置を設置し、その動力によって動くゴンドラなどが暮らしに役立っている。
「わあー! きれい!」
 街の入り口で、サリナは感激の声を上げた。それはゴンゴンと音を立てて動くゴンドラなどのためではなかった。それらの施設も十分に目立っていたが、それより何より、彼女はドノ・フィウメの景観を形作る最大の特徴に感動したのだった。
「まあ……とってもきれいですね、クロイスさん」
 うっとりした表情で、シスララもそう言った。
「まーなー。他んとこじゃ見たことねーな、確かに」
 それは様々な淡い色と乳白色とが織り交ざった、硝子状の突起だった。まるで地面から生えた水晶のような形状のその物質が、大きいものでは大人の身長を超えるものから、小さなものでは子犬くらいのものまで、街のいたるところに林立していた。表面は滑らかで、まるで磨かれた宝石のようだ。実際、この結晶体を削って生産されたアクセサリーの類も販売されていると、クロイスは語った。
「オパリオスって呼ばれてる。意味はしらねー」
 街の入り口にあったチョコボ厩舎にそれぞれのチョコボを預け、サリナたちはドノ・フィウメの街を歩き始めた。恥ずかしいのか照れくさいのか、クロイスは自ら故郷のことを紹介しようとはしなかった。だが興味津々のサリナやカイン、シスララらが執拗に質問をするので、彼は苛立った口調ながらひとつひとつに答えていった。
 ドノ・フィウメの主産業は、硝子工業である。それはあのオパリオスに起源を持ち、元々この地に存在したあの美しい結晶体に魅せられた硝子職人が住み着いたのが、街の起こりということだった。そのため、街のいたるところに硝子を製造するための工房がある。
 立ち並ぶ家々の窓にも、美しい硝子がはめ込まれている。中にはステンドグラスのような、華美な装飾が施された窓を持つ家もあった。それらの美しい街並みを楽しみながら、しかしサリナは徐々に居心地の悪さを感じ始めていた。
「ね、ねえ、クロイス……」
 案内役として前を歩くクロイスに、サリナは声を掛けた。その行為すらも、何か後ろめたく感じてしまう。
「あ?」
 首だけ振り返ったクロイスに、サリナは小さな声で言う。言葉が周囲に漏れぬように。
「なんか、街のひとたちがさ、こっちをずっと見てるみたいなんだけど……」
「ああ、気にすんな。ここはそういう街なんだ」
 なんでもない風に言ったクロイスだが、その口調にはどこか棘があった。サリナはクロイスの話を思い出した。ここは閉鎖的な街。王国に対しても良い感情を抱いていない土地だ。ここで生まれ育ちながら、しかしクロイスはこの4年で、価値観を変えたのだろう。そうなるのに十分な経験を、彼はこれまでにしてきたのだ。
 偶然だったのか、あるいは4年という月日とこれまでの暮らしがクロイスの外見を変えたのか、彼を見止めて声を掛けてくる者はいなかった。家族旅行に出かけて、そのまま行方知れずになっているのだから、昔の知り合いがいれば驚いて話しかけてくるだろうとサリナは思ったが、どうやら知り合いには会わなかったらしい。
 そうして街を歩き、ゴンドラに乗って移動し、サリナたちは到着した。
「ここだ」
「ほほー。ここかね、クロイスくん! どうだね、久しぶりの実家に戻った感想は!」
 右手を目の上に掲げて、なにやら大げさに見上げるカイン。なぜだか嬉しそうな彼に、クロイスは冷たく言い放った。
「いちいちうっせーな、お前は! いいからさっさと入れよな」
「はっはっは。照れるなよ」
「うっせー!」
 脛を蹴られて悲鳴を上げるカインを置き去りにして、サリナたちは中へ入った。
 そこはクロイスの実家だった。4年前、ほんの数日の旅に出るつもりで出発した我が家に、クロイスは帰ってきた。
 大きな家ではなかった。両親と、4人の子どもたち。6人家族が暮らすのにちょうど良い大きさだった。個室が4つに、台所、食堂、居間、水回り。部屋の数が足りない分、将来は男兄弟の誰かが同じ部屋を使うことになったのだろう。
 調度品は質素で、家事設備の類もつましいものだった。堅実な暮らしをしていたのだろうと思わせる家財道具。丸い食卓には、大人用の椅子が4脚と、子ども用の脚が長い椅子が2脚。大人用のうち、1脚にはかさ上げ用のクッションが置かれていた。
 4年間使う者のいなかった家には、うっすらと埃が堆積していた。かつては食卓に温かな光を投げかけたであろう蝋燭は冷えて固まり、換気されることのなかった家の中の空気はどこかかび臭い。だが、クロイスはその空気を大きく吸い込んだ。身体中で生家を感じようとするかのように。そしてその息をゆっくりと吐き出し、彼は呟くように言った。
「……ただいま」
 サリナは足早に、クロイスの横を通り過ぎた。コツコツと足音が響く。彼女以外に誰も動かなかった。クロイスはやや驚いた顔で、彼女を見ていた。その視線を感じながら、サリナは立ち止まった。クロイスの前で。
 そして全身で振り返り、サリナは言った。
「おかえりなさい、クロイス!」
 クロイスは、ぽかんと口を開けてサリナを見ていた。何か珍妙なものでも見つけたような顔だった。徐々に、サリナは自分の顔が赤くなるのを感じた。思わずとってしまった行動に、恥ずかしさが込み上げてくる。クロイスを迎えるように広げていた腕を閉じ、彼女は縮こまった。
「……へっ。なんでお前が、んなこと」
 サリナのその様子に、クロイスは笑った。可笑しかった。だが同時に、哀しかった。そしてそれ以上に、嬉しかった。だが、目の前で縮こまり、俯いているサリナに、見せるわけにはいかなかった。当然、後ろに立っている仲間たちにも。だから彼は、素早く行動した。サリナが顔を上げる前に。後ろからは顔を掻いたように見えるように。彼は僅かにこぼれた、その涙を拭いた。
「だ、だって……おうちに帰ったら、ただいまって言ってほしいかなって……」
 もじもじとしているサリナに、クロイスは苦笑する。どこまでも優しい。彼は心の中で感謝した。彼に過酷な運命が与えられたことに。そしてこの優しい心を持った少女と、彼女の行為にひとりとして笑わない、暖かな仲間と出会えたことに。
「……ああ、ただいま」
 彼がそう言うと、サリナは顔を上げた。嬉しそうだ。満面の笑みで、彼女はクロイスに向かって頷いた。
「よーっし、そんじゃあクロイスんちの大掃除といくか! このままじゃ泊まるに泊まれねえしな!」
 そう言いながら、カインは無い袖をまくるような仕草をしつつクルート家の居間へ進み出た。そしてクロイスの横を通る瞬間、例によって彼は余計なひと言をクロイスにぶつけたのだった。
「おや、おやおやおや、おやあ? クロイスくん、もしかして……泣いちゃったのかな?」
「黙れ死ねこのボケ!」
 クロイスの怒声が響き、カインはさきほどと寸分違わぬ、脛の同じ位置に強烈な一撃をもらって悶絶した。同時に、後ろでフェリオが頭を抱えた。
 玄関を開け、窓を開け、風を通しながらクルート家の大掃除は行われた。サリナ、セリオル、カインらの家事に慣れている者が大声で指示を出し、それ以外の者たちはそれに従った。シスララとクロイスがぶつかって尻餅をつき、アーネスは食器を洗っていたが手を滑らせて何枚かを割ってしまった。フェリオは掃除が得意だったが、指示を出す側は苦手だと言って黙々と家中の埃を取り除く作業に没頭していた。
 そうしてドタバタと掃除をしていると、その物音や声を聞きつけてか、街の住人たちが集まってきた。長らく住人不在だった家が騒がしいのだから、それも無理は無いことだった。
「おや。ひとが集まってきてしまいましたね」
「まあこれだけうるさくしてればな」
 首にかけたタオルで汗を拭い、フェリオは窓から外を見た。ドノ・フィウメの人々。その顔に浮かんでいるのは、警戒や好奇心の色だ。自分もそういう目で見るだろう、とフェリオは思う。例えばロックウェル、で長く姿を消していた技師の家が騒がしくなっていたら。
「つまり、普通のひとたちってことだな」
 警戒心が高い、閉鎖的だと言っても、それはこの土地の風習であり、文化だ。さきほど、クロイスはそれを疎んでいるような節があったが、それはもしかしたら、悲しいことなのかもしれない。ただ、そこに関しては自分が首を突っ込むところではないと、フェリオは考える。それはこのドノ・フィウメという故郷と、クロイスの精神的な成長とに関する問題だ。
「クロイス! クロイスー!」
 突如、その名を呼ぶ声が響いた。若い男性の声。いや、少年のと言うべきか。それは玄関からだった。驚きと親しみの響きが、その声にはあった。
 その声に、クロイスは手を止めた。彼は立ち上がり、急いで玄関へ向かった。
「……アンリ!」
 そこにあったのは、懐かしい姿だった。いや、正確に言うなら、懐かしい少年の成長した姿だった。ふたりは対面し、互いの名を呼んで抱き合った。強い抱擁。4年前から、お互いに成長した、それを確かめ合うような、それは強固な友情の証だった。
「クロイス! 良かった、無事だったか!」
「ああ、なんとかな」
 アンリは涙を流していた。驚いて見に来たサリナたちが視線を逸らすほどに。サリナは想像した。もし自分が、ダリウやエレノアも連れて突然旅に出ていたら。ステラたちはどう思っただろう。胸が苦しくなって、サリナは頭を振った。それと同じだったのだ、アンリにとってのクロイスは。
「そうだ、クロイス、聞いてくれるか」
 ひとしきり再会を喜び合った後、アンリはそう切り出した。友の家の中にいる見知らぬ連中のことを訊くよりも先に。
「うん。なんだ?」
「今大変なんだ。とりあえずじいちゃんのとこに行こう。連れのひとたちも一緒に行ったほうがいい」
「え? おい、いきなりなんだよ。何が大変なんだ?」
「いいから行くぞ! 早く話聞いといたほうがいいって。掃除は後でもできるだろ!」
「ええ? いやちょっと、何なんだ――」
 そうしてクロイスが戸惑っているところへ、山岳の街全体へ届くのではと思える大きさの鐘の音が響き渡った。そしてその瞬間、アンリの顔色がさっと変わった。
「やばい! 来やがった!」
「え? いや、おい、だから何がだよ、おいっ!」
 まともな答えを与えぬまま、アンリはクロイスの手を引いた。強引に表へ引っ張り出され、戸惑いながらクロイスが見たのは、混乱し、逃げ惑う街の人々だった。
「あの鐘は警鐘だ! 襲撃が始まったんだ――」
 アンリは空を見上げた。クロイスもそれに倣った。
 信じがたいことだった。ドノ・フィウメの空に、いくつもの大きな影があった。それは翼を広げ、威嚇の咆哮を上げて飛行していた。地上からでも見える鋭い牙。長く恐ろしい爪。鱗に覆われた身体。長い首、そして長い尾。恐るべき強大な力を秘める、至高の存在。それは――
「――“滝”のドラゴンの!」
 ずん……と大きな地響きを伴って、1体の竜が降り立った。2本の後ろ脚で立ち上がったその姿はまさに威容。人々の悲鳴が上がる。耳をつんざくような咆哮。大気が震える。赤い瞳に、乳白色の身体。その鱗は淡いいくつかの色に染まり、まるであのオパリオスのようだった。
 竜は何体もいた。ドノ・フィウメの街は悲鳴と混乱に包まれた。さきほどまでクロイスの家を観察していた人々も、恐怖に叫びながらめいめいに逃げていった。竜の尾が地面を打つ。美しい石畳がめくれ上がる。
 だが、アンリは逃げなかった。彼は勇敢なことに、竜の正面に立った。そして腕を振り、彼は叫んだ。
「ドラゴン! なんでドノ・フィウメを襲うんだ! いきなり何なんだ! 俺たちが何かしたっていうのか!」
 その言葉に、竜は一瞬、動きを止めた。だが直後、竜は咆哮を上げてその腕を振り上げた。鋭い爪が陽の光に煌く。アンリは頭を守るように腕を上げ、目を閉じた。
 だが、その爪がアンリに振り下ろされることはなかった。
 激しい衝突音がして、アンリは目を開いた。彼の前に、ひとりの女性の姿があった。女性は右手に剣を、左手に盾を持っていた。その盾が、竜の一撃を防いだのだ。
 困惑し、アンリは何も言葉を発することが出来なかった。助かったのか。だが、この女性は? あの巨大な竜の一撃を、左腕1本で防いだというのか。いや、この金色の髪は、さっき見たような……。
「大丈夫かしら? アンリくん」
 こちらを振り返りはせず、女性は彼の名を呼んだ。アンリは戸惑いながらも返事をした。それを確認し、女性は左腕を振り上げた。竜の爪が弾き返される。
 そこへ、アンリの背後から何本もの流星が竜に向かって飛んだ。それは紺碧色の光を纏った流星だった。流星は竜の腹に命中し、悲鳴を上げさせた。いや、竜に突き刺さったそれは、よく見ると流星ではなかった。矢だ。鋭い矢尻を竜の腹に食い込ませた、何本もの矢だった。
「下がってな、アンリ」
 混乱を来たした頭をなんとか振り返らせる。アンリは、彼を見た。大きな弓と矢を構え、竜へ狙いを定めている親友を。アンリの思い出の中に、そんな姿の彼はいなかった。記憶の中の彼は、ただ無邪気に遊び、叱られ、半べそになっては愚痴を漏らし、しかしまた同じような悪さをしては笑っている、そんな少年だった。
「俺たちが、なんとかするからさ」
 アンリは悟った。この4年で、クロイスは戦士になった。それも、歴戦の勇士に。眼光は鋭く竜を見据えている。弓矢を構えたその姿は自信に満ちていた。
「弓技・曲射!」
 水のマナを纏わせた矢を、クロイスは空へ向けて放った。同じ瞬間、サリナは地を蹴っていた。既に守りの魔法は詠唱した。彼女は最高速度で走り、紅の風となって竜へ肉迫した。
 こちらの攻撃に怒った竜が太い尻尾を振って攻撃を仕掛けてきた。サリナはそれを跳躍して回避する。速度を殺さぬよう、彼女は前方へ跳んだ。竜の尾を飛び越え、がら空きになった背中に迫る。
 フェリオの機関銃が火を噴いた。それは正確に、竜の翼を撃ち抜いた。細かな鱗と、竜の血が飛び散る。竜が悲鳴を上げる。アーネスの剣が閃く。彼女の剣はサリナを襲おうとした尾に食い込んだ。強靭な鱗と筋肉が切断を阻むが、大きな痛手を与える。
 サリナが渾身の回転撃を叩き込む。高速で回転しながらの、鳳龍棍と蹴りによる乱打。サリナの攻撃は竜の巨体を前方へ倒れこませた。怒りの声を上げ、竜はすぐに立ち上がる。
「霜寒の冷たき氷河に抱かれし、かの冷厳なる氷の棺よ――ブリザラ!」
 そこへ氷塊の魔法が襲いかかった。巨大な魔法の氷が、竜の身体を激しく殴打する。苦悶の声を上げる竜に、更なる攻撃が加えられる。
「よお、デカブツ。こいつでも食らっとけよ! スクリュー・ドライバー!」
 カインが獣ノ箱を解き放った。現われたのは朽ちた砂牢で捕らえた怪魚だった。青白い炎となった怪魚は、水流のような力を纏って竜に突撃し、その腹に大きな衝撃を加えた。
 立て続けの攻撃に、竜はうめき声を上げて倒れた。だが絶命したわけではない。その目は怒りに燃え、サリナたちを睨みつけている。
「しぶとい奴だ」
 フェリオが銃口を向ける。だが、彼がトリガーを引くよりも早く、竜の前に現われた者があった。
「ソレイユ! どうしたの、ソレイユ!?」
 唯一攻撃に参加していなかったシスララの、狼狽した声が響いた。さきほどから、シスララはソレイユが言うことを聞かないことに困惑していた。その声が聞こえていた。
 竜の前には、空中で羽ばたくソレイユの姿があった。興奮している。そして不思議なことに、ソレイユは美しい七色の光を放っていた。
 ソレイユは主人が来るのを待たず、空に向かって甲高く吠えた。それはこれまでにサリナたちが聞いてきたものとは、やや異なる声だった。ソレイユの声は、高く美しい。まるで繊細な楽器が奏でる音色のようだった。
 だが、今の声はそうではなかった。高く美しいことには変わり無いが、どこか威厳を感じさせる響きがあった。それはまるで、竜たちを諌めようとしているかのようだった。ソレイユの声は天高くへと吸い込まれていった。
 そしてなお不思議なことに、ソレイユの声に反応したかのように、竜が立ち上がり、空へと舞い上がった。街に降り立った他の竜たちも同様のようだった。一斉に、ドノ・フィウメを襲撃した白き竜たちが空へと戻った。
「なんだろう……?」
 どきどきと脈打つ胸に手を当てて、サリナは竜たちが去っていくのを見送った。不可解な現象だった。
「ソレイユ!」
 血相を変えて、シスララが走ってきた。はっとして、サリナは地面を見た。そこには、まるで力を失ったかのように、ソレイユがぐったりと横たわっていた。
「ソレイユ! 大丈夫!?」
 その小さき飛竜を抱き上げ、シスララはその額を撫でてやった。ぐったりしているが、脈はある。死んでしまったわけではないようで、シスララは安堵の息を吐いた。
「清浄な癒しの光の降らんことを――ケアル」
 サリナが回復の魔法を詠唱した。淡い光がソレイユを包み、しばらくしてソレイユはゆっくりと目を開いた。細い声で啼く。それはまるで、心配をかけてごめんと詫びているようだった。
「ああっ、ソレイユ、良かった……!」
 シスララはソレイユをぎゅっと抱き締めた。サリナたちも安心した。クロイスは尻餅をついてへたりこんでいたアンリを立ち上がらせてやっていた。
「なんだと思う? セリオル」
「さあ……私にもさっぱり」
 フェリオとセリオルは、さきほどの不思議な現象について考えていた。ソレイユが光を放ち、吠え、そして竜たちは帰っていった。サリナたちが竜を撃退したと思ったらしい住民たちが周囲で騒ぐ中、ふたりはじっと考えていた。だが、どれだけ考えても答えが出ることは無かった。