第198話

 漆黒の光、というものがあるとすれば、こんな感じだろうか。膨大な力を与えてくれるイフリートの鎧に身を包まれながら、サリナは場違いなことに、そう思っていた。
 黒騎士――王都イリアスで惨敗し、サリナたちがこれまでの旅で唯一、敗走を強いられた相手。その身に纏うのは漆黒の鎧。闇の幻獣を意識してのことか、気高くもどこか禍々しい意匠の全身鎧だ。顔まで隠す兜を戴き、その手には抜身の大剣を帯びている。その大剣の刀身も、やはり漆黒に染まっていた。
 剣に闇を衣のように纏わせたその騎士の姿は、強大な敵であることを十分に認識しているサリナの目にすら、美しいと映った。堂々たる立ち姿、己の力を微塵も疑わぬことを感じさせる、自然体の構え。
 ふと、サリナは気づいた。
 そういえば、王都でもそうだった。黒騎士は今と同じ鎧を身に着けていた。一方で、黒騎士は闇の幻獣をアシミレイトしてもいるはずだ。幻獣をアシミレイトすれば、サリナたちのように、幻獣の鎧が生まれるはずだ。しかし黒騎士の鎧は、どう見ても人間の手で生み出されたものだった。鎧自体がマナを纏っているのではなく、マナは鎧の隙間から漏れ出ている。
 これはどういうことだろう……王都で黒騎士は、確か碧玉の座から瑪瑙の座への再アシミレイトもしていた。あの時はどんなことが起こったんだっけ……?
 もたげてきたサリナのその疑問は、しかし直後に生まれた背筋の凍るほどの緊張によってかき消えた。
 黒騎士が無造作に大剣を掲げ、そして振り下ろした。
 大剣の斬撃が形を成したかのような、闇の刃が放たれた。
 サリナたちは全員同時に飛び退って回避した。刃は宙を切り、そのまま皇城の城門に激突して、その美しい門を破壊した。
 衝撃音が尾を引く中、サリナが飛び出した。
 イフリートの祝福を得て神速の炎と化したサリナは、一瞬にして黒騎士との距離をゼロにした。
 黒騎士の闇の大剣とサリナの炎の棍とが、激しい音を上げて激突する。漆黒と真紅の粒が飛び散る。その光の激しさに目を細めながら、セリオルは杖を構えた。
 そこへ――
「……セリオル、か?」
 その声に気づかないふりを、セリオルはした。声のした方は向かなかった。ガルーダの鎧は、翠緑の光を放っている。美しいマナの光を纏った魔導士は、声の主――ナッシュラーグ自治区領主にして旧ヴァルドー皇国皇帝、ガルド・カサンドル・パスゲア・フォン・ヴァルドーには視線を向けず、聞こえた素振りも見せなかった。
「ガルーダ!」
「あいよ!」
 名を呼ばれ、ガルーダはセリオルの意図を酌んで力を送る。セリオルは風の船に乗って、カインたちの許へ宙を滑るように移動した。その間にサリナと黒騎士の攻防は始まっている。
「ダグ、そのひとたちをこの場から離してください!」
「へ、へい!」
 なぜか抵抗しようとする皇帝たちに手を焼きながら、ダグはその場から彼らを避難させた。四の五の言っていられる状況ではない。離せ無礼者と叫ぶ皇帝を、最終的にダグは肩に担ぎ上げた。
 イフリートのマナは、サリナに素晴らしい力を与えてくれる。強化された脚の力を活かし、サリナは素早いヒット・アンド・アウェイを繰り返した。受けえてしまうと大打撃が避けられない黒騎士の戦いを想定し、準備していた戦法だ。サリナが黒騎士から離れた瞬間に、他の仲間たちの遠隔攻撃が襲い掛かる。黒騎士にとっては絶えず回避か防御の選択を迫られる、苦しい状況だ。
「天空の守りの盾を授からん――プロテス!」
「花天の舞・オーラジグ!」
「魔の理。力の翼。錬金の釜! バシャドウ!」
 白魔法、マナの舞、調合の力によって防御力、攻撃力、そして闇のマナへの耐性を向上させる。
 サリナは目まぐるしい動きで黒騎士を翻弄した。強化されたサリナの動きは目にも止まらぬ速さだった。その攻撃の合間に鋭く挟み込まれる黒魔法や風水術、マナ弾や氷の矢などの遠隔攻撃も、そのひとつひとつが大きな威力を秘めている。それらをかろうじて防ぎ、あるいは回避しながら、黒騎士はサリナを相手取っている。
 その戦いぶりは、苦しそうに見えた。
「な、なあ……」
 シヴァの矢を放った後、クロイスは口を開いた。
「なんかさ、気のせいかもしんねーけど……」
 彼が何を言うのか、アーネスはわかっていた。彼女も感じていることだ。
「なんか、黒騎士……強くなくね?」
「……ええ」
 王都での戦いで圧倒的な力を見せた黒騎士。クロイスの記憶に、その恐ろしい力は深い傷跡として刻まれていた。思い出すだけで震えが走るような、恐怖の記憶――。
 あの戦いの後、彼らは世界を周って瑪瑙の座の幻獣たちを仲間にした。瑪瑙の座。王都での戦いの時には、彼らに力を貸してくれるのは碧玉の座の幻獣たちだけだった。クロイスたち自身の力も、今よりもずっと弱かっただろう。世界を周る旅の中で、彼らは様々な戦いを経験し、そして成長してきた。
 それに今の彼らは、王都での戦いを経験した6人だけではない。新たに一行に加わったシスララとソレイユ。そしてハイウィンドに搭乗してくれた、世界中の仲間たち。その全員の力が、今の彼らの力となっている。
「俺たち、強くなったんだな」
「……ふふ」
 あの圧倒的な力がまた立ちふさがるのかと、不安に押しつぶされそうになった。しかしそれは杞憂に終わるようだ。その安心から、アーネスは戦闘の場で珍しく、小さな笑みをこぼした。
「そうね。いつの間にか私たち、強くなってたのね」
「へへへ」
 サリナは仲間たちの援護を受けて戦いながら、黒騎士を観察していた。
 最初は、小さな違和感だった。あの王都での戦いで受けた黒騎士の攻撃は、こんなに生易しかっただろうか。いや、それよりも私が強くなったのかもしれない……あれから経験した激闘の数を考えれば、それは自然なことであるように思えた。
 ふと、援護してくれている仲間たちのほうへ目を遣る。ほんの一瞬だったが、アーネスとクロイスが何か話しているようだった。その表情に、固さは既に無かった。仲間たちも自分と同様、向上した自分たちの力が黒騎士を上回ったのだと、そう感じているのかもしれない。
 だが、武器と武器がぶつかり合うに従って、サリナの中で違和感が膨らんでいく。
 ――本当にそうだろうか。
 確かに、自分たちは強くなっただろう。数えきれないほどの戦闘、そしてブラッド・レディバグが強化した魔物や塵魔たちとの戦い。サリナも仲間たちも、新しい力をいくつも獲得してきた。瑪瑙の座の幻獣たちの力は凄まじく、サラマンダーたちには申し訳ないが、碧玉の力を遥かに超えている。今の自分が黒騎士と互角以上に渡り合うことが出来るのも、不思議ではないかもしれない。
 だが……サリナにはどうしても、王都での黒騎士と今の黒騎士には、何か決定的な違いがあるように思えてならなかった。
「行け、サリナ! 決めちまえー!」
 クロイスの声が響く。ユンファたち、幻獣の力を持たないがために今の戦いには参加していない仲間たちからも歓声が上がる。ユンファたちは黒騎士の力を目の当たりにしたことが無い。
 敵から離れた瞬間に、サリナはセリオルたちに視線を飛ばす。セリオルと、そしてフェリオ。ふたりの考えが知りたかった。この優勢な状況は、真に優勢なのか。サリナは自分の感覚に、自信が持てなかった。
 フェリオは、表情を変えていなかった。その顔は、何か悩んでいるようにも見えた。フェリオも自分と同じなのかもしれない。黒騎士の力のほどを、計りかねている。
 セリオルの表情は厳しかった。全く気を抜いていない。むしろ、今の状況が何らかの罠であると思っているような顔だ。だが、やはり確信を得られることは無かった。当然だ。ゼノアの手の内は全く見えないのだ。
 サリナは逡巡した。アーネスの風水術とソレイユの体当たりで、黒騎士はバランスを崩した。今リバレートを放てば、倒せるかもしれない。しかし――
 不意に、激しい雷光が迸った。
 カインだった。ラムウのマナを獣ノ箱に帯びさせて放つ、カインが“サンダービースト”と名付けた技。青白い炎の姿となった魔物に、雷のマナを与えて攻撃させる技術だ。
 雷の獣は文字通り雷撃となって飛び、黒騎士に襲い掛かった。
 雷獣の攻撃は、漆黒の騎士の胴体に炸裂した。体勢を崩していた黒騎士は大剣で防御をすることも出来ず、雷の獣の攻撃をまともに受けた。青白い炎が凄まじい爆発を起こし、そこに紫紺の雷撃が迸る。炎と雷の嵐が巻き起こった。
 声も上げず、黒騎士は仰向けに倒れた。
 それは、サリナたちが予想もしなかった光景だった。
 あまりにも……あまりにもあっさりと、黒騎士は倒れた。
「いっ……行け! 行け、サリナ! トドメを刺せ!」
 クロイスが叫んだ。ユンファたちも叫んでいる。サリナは棍を構えた。イフリートのマナを高めようと、幻獣と共鳴していく。
 だが。
(待て!)
 頭の中に響いたのは、そのイフリートの声だった。
「えっ!?」
 サリナは慌ててマナの共鳴を止めた。高まりかけたサリナのマナがその勢いを無くしたことに、クロイスは驚いた。
「は……? 何だよ。なんでやめたんだ?」
「いや、あれでいい」
 疑問に答えたのはフェリオだった。その険しい横顔に、クロイスは戸惑う。
「なんでだよ。もう倒せそうじゃんか。絶好のチャンスじゃん!」
「いや……やっとわかったんだ。この違和感の正体」
「違和感?」
 怪訝そうな顔を向けるクロイスに、フェリオっは頷く。
「あなたも気づきましたか」
 こちらは向かずに黒騎士に視線を注いだまま、セリオルが言った。
「ああ。まったく、やれやれだな」
「嫌になりますね、つくづく」
「おい何だよじれってーな。早く教えろよ!」
「ちょっと待て」
 クロイスにすげなく言い放って、フェリオは声を張り上げる。
「サリナ、いったん戻ったほうがいい! 態勢を整えるんだ!」
 イフリートの制止に戸惑って次の手を打てずにいたサリナは、フェリオの声にびくりと反応し、すぐにその場を離れた。
 黒騎士はゆっくりと起き上がった。特にこちらを警戒する様子は無い。緩慢な動き――生気すら感じられないような、違和感のある動き。闇の騎士は大剣を、のろのろと持ち上げた。
「ファイラ!」
 牽制の黒魔法をセリオルが放った。火炎の魔法は大気を焦がして飛び、サリナに剣を向けようとしていた黒騎士に命中した。爆炎が上がる。
「サリナ、警戒してください」
「は、はい……?」
 その程度で撃破できるはずも無いことは百も承知だったが、サリナは兄が、何に対して警戒しろと言っているのか、その真意を量りかねた。今のところ、黒騎士は大した力を発揮していない。
 炎と煙が収まり始める。黒騎士の鎧が、煙の隙間に見え隠れする。
「来ますよ」
「え?」
 その瞬間、火炎の魔法が生んだ煙は、一瞬にして消え去った。
 黒騎士は唱えた。深淵の闇から沸き起こるような不気味な声で。
「唸れ、私のアシミレイト」
 禍々しい漆黒の闇が溢れ出した。我が目を疑いながら、サリナはその光景を見ていた。
 闇の幻獣がもたらす、漆黒の力。それが黒騎士を包み込んでいく。
 外見に変化は無かった。サリナたちのようなアシミレイトの鎧jは現れなかった。だが黒い鎧の継ぎ目から漏れ出てる闇の粒子が、アシミレイトが起きたことを実感させた。
「そんな……」
 絶望が声に忍び寄るのを、サリナは止められなかった。彼女が優勢だったとはいえ、それはイフリートの鎧を纏っていたからだ。瑪瑙の座の幻獣の力を借り、そのマナと融合して、サリナは黒騎士を攻めていた。
 だが、黒騎士はそうではなかった。敵はまだ、幻獣の力を使っていなかったのだ。
「アシミレイトせずに、私の攻撃に耐えてたってこと……?」
「……おっそろしいヤツだ」
 クロイスの声にも緊張が滲んでいる。ここから先は、先ほどまでのような一方的な展開にはなるまい。
「でも、どうして? さっき黒騎士が使ってた攻撃には、闇のマナが乗っていたわ」
 アシミレイトを果たした強大な敵の動きを警戒しながら、アーネスが疑問を口にする。じりじりと、敵は距離を詰めつつある。
「暗黒騎士だ」
 答えたのは、フェリオだった。セリオルが頷き、後の句を継ぐ。
「アーネス、あなたの持つナイトの力と対極を成す力です。守りよりも攻撃に特化した騎士の力。その威力のためには自らの命を削ることも厭わない……忌むべき力です」
「……なるほどね」
 暗黒騎士。それはアーネスの持つ守りの力、ナイトを反転させたような性質の力である。盾は持たず、武器は両手で扱う長大な大剣。己の命を削ることで攻撃力を増す、恐るべき特技。
「だから闇のマナを使っているように見えたってわけね……暗黒騎士の力は、闇のマナに酷似してるから」
「そういうことです」
「おい、あいつが暗黒騎士の力を持ってるのはわかったけど、じゃああれは何だよ?」
 そう言いながらカインが指さした先にあったのは、燃える剣だった。黒騎士の漆黒の大剣が、炎を纏って燃え盛っている。黒き暗黒騎士はその炎の剣を構え、サリナに向けていた。
「来ます!」
 サリナの鋭い声が飛ぶ。彼らが一斉に離れたその場に、炎の力が叩きつけられた。瞬時に距離を詰めた黒騎士の剣が、炎とともに振り下ろされたのだった。爆発が起こる。その炎のマナには、闇のマナも混じっていた。
「まさか……あれは、魔法剣士?」
 戦きとともに呟いたのはシスララだった。かつてエル・ラーダの宴で一度だけ目にしたことのある力だった。魔法の力を剣に宿らせ、自らの力も乗せて攻撃に変換できる力。フェリオの力のマナと似ているが、増幅して放つ力のマナとは違い、魔法剣士は魔法の力を自分の戦闘スタイルに適応させて利用することが出来る。
「暗黒騎士と、魔法剣士の力……それに加えて、他者を侵食する闇のマナの力、か。厄介極まりねえな」
 犬歯を見せて不敵な笑みを浮かべるカイン。だがその表情は緊張に鎧われている。
 黒騎士が恐ろしい声を上げ、闇を放った。その全身から放出された闇のマナは分散して空中に留まり、やがていくつかの大きな、漆黒の円を生み出した。
「まずい! シスララ!」
「はい!」
 セリオルの警告に素早く反応し、シスララがソレイユと共に飛び出した。
「竜技・ワイバーンピアス!」
 セラフィウムのマナを注いだ槍、シュヴァルツクーゼにソレイユが乗り、それをシスララが投擲する。光の槍は宙を切り裂いて飛び、闇の円のひとつを破壊した。聖のマナが闇のマナを浄化する。
「くっ……」
 だがシスララが浮かべたのは悔しげな表情だった。破壊できたのはひとつだけだったのだ。
 残りの円から、インフリンジによって魔物が召喚された。ゼノアの眼ほどの大量の魔物を呼びはしなかったが、その代わり呼ばれた魔物は強力だった。
 鉄巨人、トンベリ、クァール、モルボル、マインドフレア、アーリマン、そして……アダマンタイマイ。すでに闇のマナの侵食を受けた状態の強力な魔物たちが、再びサリナたちの前に立ちふさがる。
「……参ったなあ」
 額を伝う汗をぬぐい、サリナはうんざりした気分で呟いた。アシミレイトした黒騎士に加えて、この魔物たちを相手にしなければならないのか。しかもおそらく、隙を見てあの黒い円を破壊しないと、魔物は次々に現れるだろう。魔物たちの唸り声が上がる。
 そこへ、純白の光線が降り注いだ。
 光線は黒い円のひとつを破壊した。驚いて見上げると、そこには翼を大きく広げて下降してくる、ファ・ラクの姿があった。
 ズシン、と地響きを立てて着地し、竜の戦士はすぐに黒騎士をねめつけた。
「なんと禍々しいマナよ……」
「ファ・ラクさん!」
 自分の名を呼ぶ真紅の少女に目を遣り、ファ・ラクは言った。重厚な自信に満ちた、力強い声で。
「何をしている。お前たちはあの黒き者を退けるのだろう。他の魔物どもは我々が引き受ける」
 その言葉が終わるのを待たずに、駆け抜けた風があった。美しい2本の剣を舞い踊るように閃かせ、アリスはクァールの長い髭を切り飛ばした。魔物の悲鳴が上がる。
「アリスさん!」
「そーいうことだよ、サリナ。あたしらのこと、まさか忘れたんじゃないだろうね?」
「ひっどいなあ、サリナったら!」
 回転させたトンファーを鉄巨人の胴体に叩き込んで深い亀裂を発生させたのはユンファだった。氣の力を乗せたトンファーの一撃は、重く激しい。
「さあ、魔物どもは私たちに任せて、あなたたちはあの騎士を」
「へっ、心強いったらねえなあ、おい!」
 ルァンの言葉に笑顔を見せ、カインは地面を蹴った。一直線に黒騎士へ向かう。
「そんじゃあ遠慮なく、やらせてもらうぜえ!」
「あっ、てめえひとりで抜け駆けなんてずりーぞ!」
「うっせえバカ! もうとっくに始まってただろ!」
「うるせー黙れボケ!」
 喧嘩しながら、紫紺と紺碧の光が漆黒の闇へ襲い掛かる。飛び掛かったカインの雷鞭を剣で受け、そのまま剣を薙ぎ払って黒騎士はカインを吹き飛ばした。漆黒の剣はその動きの流れで、振り下ろされた氷の刃も弾き飛ばす。
「シスララ、私たちも!」
「ええ!」
 サリナとシスララが飛び出し、光の混戦の中へ突入した。走りながら、ふたりは味方の能力を向上させる魔法と舞を発動させる。続いてアーネスも地面を蹴った。黒騎士の強力な攻撃は、彼女の盾でないと防げないだろう。
「フェリオ」
「ああ、わかってる」
 前衛の5人が、漆黒の騎士と切り結ぶ。それはさながら、闇を中心にした光の乱舞だった。黒騎士はサリナたちのマナを剣で吸っては自らの攻撃へと変換して放ち、更にその隙間に闇のマナによる攻撃も挟んでいる。5人がかりの攻撃を捌いてなお、敵には余裕があるように見える。それを観察し、セリオルとフェリオは言葉を交わす。
「あのアシミレイトされた幻獣、あれは……」
「ええ。あれはケルベロス……闇の幻獣、碧玉の座」