第200話

 その黒い兜が飛ぶのが、やけに遅く感じられた。サリナの棍が飛ばした兜は放物線を描くことはなく、直線を引いて飛んだ。まばたきひとつ分ほどの時間だったろう。重い音を立てて兜が落ちるまでの間に、サリナの視線は漆黒の兜の下に隠されていた、黒騎士の素顔に向いていた。
 最初に目に飛び込んできたのは、場違いに美しい栗色だった。それは窮屈な兜から解放されたことを喜ぶように広がり、大気に闇の粒を散らした。
 次にサリナの目を奪ったのは、光を宿さないその瞳だった。底の見えぬ深淵のような不吉な闇を宿した双眸。その視線はサリナに突き刺さり、彼女の心臓を鷲掴みにした。窒息の感覚に、サリナは喘いだ。
 栗色の髪。そして――栗色の、瞳。
 世界が止まったような瞬間の後、サリナはその者と対峙した。
「え……ど、どうなってんだ……?」
 状況が飲み込めず、クロイスは自分でも情けなくなるような間抜けな声を出した。
 漆黒の兜の下から現れた長い髪。そしてその者の、端正に整った顔立ち。醜く腫れ上がった魔物のような正体を予想していた彼にとって、その素顔はあまりにも衝撃的だった。
 凛然として黒き大剣をだらりと下げたまま、その者は立っている。
「女……だったのか……」
 頬はこけ、大きな黒い痣のようなものが、その顔を隈取るように広がっている。それはひと目見てわかる、闇のマナによる侵食だった。それが鎧化しないアシミレイトの正体であることを、マナの戦士たちは瞬時に悟った。
「い、いや、それよりちょっと」
 王国の盾であるアーネスも、狼狽を隠せなかった。そのことが何を意味するのか、彼女には理解が出来なかった。ただ押し潰されるような不吉な予感だけが、彼女の胸に広がっていた。
 彼女は我が目を疑っていた。自分のまなこに映るものが信じられなかった。単なる偶然なのか。いや、そうとは考えにくいはずだ……そう否定するだけの確たる根拠は何も無かったが、ただ彼女の直感がそう告げていた。そして同時に、早鐘のように打つ心臓の鼓動が、その事実を認識してはならないと叫んでいた。
「ねえ、ちょっと、あの顔……」
 ただ、彼女は口を開かずにはいられなかった。仲間たちは全員、黒騎士を見つめていた。ルァンたちも含め、その場の全員の視線が、兜を飛ばされた黒騎士に集まっていた。
 サリナは――あまりのことに、呆然と立ち尽くしている。
「ねえ、セリオル……教えてちょうだいよ……」
 腕の力が抜けていくような、足が雲を踏んでいるような、奇妙な浮遊感がアーネスを襲っていた。不快な汗が噴き出るのを感じる。セリオルは無言で、敵の騎士を見つめている。
 アーネスがその先を言うのを、誰もが聞きたくないと願っていた。カインですら、今すぐ両耳を塞ぎたくなる衝動と闘っていた。それを自分以外の口から聞いてはならない気がした。自分の目がおかしいのだということにしておかないと、大切な何かが壊れてしまうような予感がした。
 だが、ついに、琥珀の騎士はそれを訊ねた。
「……どうしてあいつ……サリナとそっくりなの……?」
 天才の名をほしいままにする黒魔導士は、しかし何も答えず、ただ黒騎士の顔を見つめている。アーネスはその表情に、背筋を凍らせた。
 怒り、あるいは悔い。激しい憎悪にも似た感情が、セリオルの顔には現れていた。噛み砕くのではないかと思えるほど強く、彼は奥歯を噛み締めている。眉間には深いしわが刻まれ、その烈火を宿したような瞳の光は、アーネスがこれまでに見たことの無いものだった。
 セリオルは翠緑の光を湛える杖を振り上げた。そして黒騎士に向けて、無数の風の刃を飛ばした。
 傍に立つシスララは、セリオルのその鬼気迫る様子に、あえて何も訊ねなかった。セリオルを挟んで、アーネスと目が合う。困惑を映す騎士の瞳に、白き竜騎士は頷きかけた。ともかく今は、黒騎士を退けなければ。
「サリナ!」
 その時、何事にも動じない強い意志を感じさせる声が響いた。
 フェリオは黒騎士が剣で反射した風のマナを上手く回避しながら、動かないサリナに近づいた。炎の鎧に覆われた、その細い肩に触れる。
「サリナ、大丈夫か!」
 黒騎士から素早く距離を取る。敵の素顔に尋常でない衝撃を受けたサリナを守らなければ。瞬間的に全開にしたオーディンのマナを全て逃走に使う。
 走りながら、フェリオはサリナの目を覗き込んだ。
 そこには、まるで何も映っていないかのようだった。背後で、仲間たちが黒騎士への攻撃を再開している。しかしそこには、拭いようの無い戸惑いの気配が漂っている。
「サリナ、しっかりするんだ。あいつが何者かなんて、どうでもいい。自分をしっかり保ってくれ」
 言いながら、自分の声にも迷いが混じるのを、フェリオは自覚していた。だが今は、サリナの精神を守ってやらなければならない。己の心をかき乱している様々な感情も推測も、今は封じ込めるのだ。あの顔に誰よりもショックを受けたのは、他ならぬサリナなのだから。
 ――サリナのことは、俺が守る。
 そう心に誓うフェリオの脳裏には、ハイドライトでのサリナの姿が蘇っていた。心を弱らせたサリナの、不安定で頼りなげな姿。フェリオは唇を噛み、サリナの肩を強く抱く。自分の存在を揺るがすような出来事に、サリナは耐えられるだろうか。いや、自分が支えなければ。
 不意に、フェリオの腕を強く握る力があった。
「サリナ……?」
 思いのほかはっきりした意志を感じさせる力に、フェリオは驚いてサリナを見た。
 栗色の瞳に、強い光が宿っていた。
「サリナ……」
「うん」
 自分の足で、サリナは立ち上がった。顔を上げる。戦っている仲間たちを見る。5色の光が、漆黒の闇と拮抗している。
 サリナのその姿を、フェリオは見た。イフリートの鎧を纏う、小柄で華奢な少女。彼女の瞳は栗色、その髪も同じ栗色。闇を操る漆黒の騎士のそれと――同じ色。
 だがその表情は、敵のものとは全く異なっていた。黒騎士の顔には、なんの感情も浮かんではいない。しかしサリナの顔には、強固な決意のようなものが見えた。
 その口が開き、フェリオへの言葉が発される。
「いつも心配ばっかりかけてごめんね、フェリオ」
「……あ、ああ、いや、いいんだ全然、そんなことは」
 不意を突かれて、フェリオは少し動揺した。サリナは続ける。
「もう大丈夫。あのひとがどこの誰だろうと……私は、私だから。私には、みんながいるから」
 サリナとそっくりな顔をした、漆黒の騎士。その不気味な存在から感じるうすら寒い恐怖感とよく似たものを、フェリオは以前にも感じた。
 ――光纏う者。
 ハイドライトで遭遇した、あの気味の悪い怪物。その遭遇の時、サリナが発したあの言葉が、フェリオには思い出されてならなかった。
 さっきのは……私だったよ。
 あの言葉の真に意味するところを、フェリオはまだ知らない。
 セリオルはあの怪物のことを、幻魔の失敗作だろうと推測した。だがそれが真実ではないことを、フェリオは知っていた。
 あの時、カインに殴られた後。セリオルと交わした会話を、フェリオは思い返した。

 「教えてくれ、セリオル。あれは何なんだ」
 「……すみません。まだ、言えません」
 「……またそれか」
 「申し訳ない。しかるべき時に、必ず全てを話します。
  そうしなければならない時が必ず来ますから」
 「……わかった。ただ、ひとつだけ頼んでいいか?」
 「なんでしょう」
 「サリナを安心させてやってくれ。嘘でもいいから」
 「……わかりました」

 仲間たちの誰にも話していない、あの会話。ごく小さな声で交わした、フェリオとセリオルだけが知る内容。その中でセリオルが語った、全てを話すべき時……。
 黒騎士の素顔を目にして、フェリオは確信した。それはきっと、今日だ。
 サリナとゼノアの研究には、マナ共鳴度以上の深いつながりがある。それはサリナ自身も感じ取っているだろう。もしかしたら彼女も、セリオルが語った光纏う者の正体には疑問を持っていたのかもしれない。その上でセリオルの全てを信じ、サリナはここまで歩んできたのだろう。
 サリナのその苦しみを思い、フェリオは胸にズキンとした痛みを感じた。
 そのサリナは今、戦う仲間たちと黒騎士を見据えている。鳳龍棍【精霊王】を構え、じっと戦況を見つめている。
「……見てて、フェリオ」
 その声に、フェリオは卒然とした。
 その響きには、確固たる自信があった。そして同時に、仲間たちに対しての信頼があった。
 ゼノアの思うままにはなるまいと、プラナの力を身に付けた。ルァンやイェジン、そしてイフリートらファンロンの者たちとの修行、更にギルガメッシュとの戦いを経て、その力を使いこなすことにも慣れてきた。マナとプラナを同時に扱うことも、どうやら出来そうだ。
 ハイドライトで、そしてここナッシュラーグで、サリナは自分の存在の根幹に関わるのかもしれないものと対峙している。しかし彼女にはフェリオがいる。カインが、クロイスが、アーネスが、シスララが、そしてセリオルが、いる。
 決めたのだ。私は、仲間を信じると。幼いころから一緒にいてくれた兄を、自分を助け、支えてくれるみんなを、一番近くで見てくれているフェリオを、信じると。そして何より――自分を信じると。
 サリナはマナを解放した。真紅に煌く炎のマナが立ち昇る。構えた鳳龍棍が真紅と黄金に輝く。
 続いて彼女は、プラナを解放した。己の内から生まれ出でる氣の力。真紅の光に黄金の光が混じり、圧倒的な威力を感じさせる波動が巻き起こる。
 さきほどは真紅と黄金の2色だった鳳龍棍【精霊王】。しかし今、サリナが氣を発動させると、その色は3色の輝きを帯び始めた。プラナのみを伝導させた時に現れる、精霊銀の輝き――白銀。それはまさしく、サリナがマナとプラナの同時発動を完全に我が物としたことの証だった。
 身体を沈め、サリナは脚に力を籠める。一瞬で黒騎士との距離をゼロにするため、瞬発力を溜める。
 フェリオは目撃した。真紅と黄金の光を放つサリナの背中に、光の翼が生まれるのを。それは金と紅が混ざり合った、美しい力の翼だった。
 その力を解き放ち、サリナは叫んだ。
「……私は、私を超えていくから!」
 炎の少女は地面を蹴り、飛び出した。真紅の疾風は暗黒の闇を吹き払うべく、神速の矢となった。少し遅れて、サリナがいた空間を埋めるかのようにつむじ風が起きる。その風圧になびく髪をそのままにして、銀灰のガンナーは嘆息する。
「まったく……大したやつだよ、君は」
 唇の端に浮かんだ笑みを手の甲で拭って、フェリオはオーディンのマナを纏う。銀灰の光の柱が、仲間たちを援護すべく動き出した。
 信じがたい高速で接近するサリナの気配を察し、仲間たちは散開した。
 サリナは、正面から突撃した。声を上げていたと思う。耳元で渦巻くマナとプラナの力の奔流が、その全てが身体の中を駆け巡るような感覚があった。森林の街クロフィールで長老エーヴェルトによってマナの解放を受けた時と似た、新たな力の覚醒を思わせる感覚。力の塊は竜巻となって黒騎士と激突した。その一瞬前、宙を翔けて来たサリナを顧みた仲間たちの表情がぱっと明るくなったことが、サリナにまた勇気を与えた。
 凄まじい衝撃音が響き渡った。炎と闇がぶつかり合い、マナとプラナが打ち消し合い、その衝突は激しい衝撃波となって広がった。
「ははっ……すげえじゃねえか、サリナ!」
 ギルはルァンたちの助太刀に入って戦いながら、サリナから迸る力を感じていた。あのサリナと手合わせをしてみたいという欲求が首をもたげてくるが、なんとか自制する。体当たりを仕掛けてきたアダマンタイマイの顎で強烈な一撃で打ち上げ、彼は衝撃波の源に目を遣った。
「すごい……ほんとにすごいよ、サリナ!」
 ユンファはサリナの生み出した力の奔流に、期せずして涙した。あの日、ファンロン総本山の門を潜って現れた時の姿が思い返される。氣の力――ファンロン流の本質とも言える人の生命から生まれる力を身に付け、サリナは今、人と神の力を混ぜ合わせて強敵に立ち向かっている。
「彼らなら、大丈夫です。あのひとたちは……強いですから」
 クァールを一刀の下に斬り捨て、ルァンもちらりとサリナの姿を見る。真紅と黄金の光を纏い、同じ色の翼をその背にはためかせる少女。雄々しい光は、全てを呑み込まんとする深淵の闇を打ち破ろうとしている。
 喉も裂けよとばかりに、サリナは叫んでいた。目の前に立ちふさがる黒き大剣の向こうには、自分と同じ顔の誰かがいる。ケルベロスの闇と同化しているのか、その顔には闇の隈取り。何の感情も映さない冷たい目は、自分を押し込もうとするサリナの顔を、ただじっと見つめている。
「サリナ、行けえええええええっ!」
 仲間たちの声が聞こえる。それがサリナの胸に燃える炎にくべられる薪となる。
 瞬間的には釣り合ったかに見えた真紅と漆黒の激突は、しかしすぐにその均衡を崩した。
 真紅と黄金の光は、次第に黒き闇を呑み込んでいった。イフリートのマナと、サリナのプラナ。その強力なふたつの力が合わさった新たな力は、極限まで引き出された闇の碧玉の座の幻獣、ケルベロスのアシミレイトを上回っていた。漆黒の大剣はサリナの力に圧されて、黒騎士の手にその柄を納めさせておくことが出来なくなった。剣は弾き飛ばされ、そして敵の鎧が破壊されていく。そうなってもなお、黒騎士の顔は鉄面皮を被っている。
「――ああああああああああっ!!」
 サリナの叫びと共に、金紅の光が漆黒の闇を、ついに吹き飛ばした。黒騎士の身体は宙を舞い、地面を転がった。重厚な漆黒の鎧には無数のひびが入り、ぼろぼろの有様だった。
 闇は霧散した。サリナも力の解放を止める。光が消え、あたりが静寂に包まれる。闇のマナが召喚した魔物たちも、ちょうど撃破されたところだった。黒騎士が倒れたからか、それ以上の召喚は行われないようだった。ルァンが少し息を切らせながら剣を鞘に納める音が、涼やかに響く。
 サリナは大きく息をしながら、黒騎士を見つめた。瞬間的にだが、大きな力を消費した。しかし不思議なことに、サリナの体力はさほど損なわれていなかった。一時的に消耗はしたものの、大した疲れは感じなかった。
 誰も言葉を発さなかった。黒騎士の顔は、遠く離れたところで仰向けに倒れているため、サリナからはよく見えない。
 しかしどうやら、ケルベロスの力が尽きたことは間違い無いようだった。アシミレイトは、その幻獣のマナを使い果たしたら強制的に解除される。リバレートで全マナを放出した後にアシミレイトが解除されるのも同じ仕組みだ。
 さきほどのサリナの突撃を防ぐ際に、ケルベロスのマナを大きく消費したのだろう。倒れた黒騎士からは、危険なマナの片鱗も感じられなかった。
 ヴァルドー皇家の街、ナッシュラーグ。風車の都と呼ばれるその街の象徴のひとつである、ヴァルドー皇家が暮らす城、皇城。その前で仰向けに倒れる、漆黒の騎士。彼――いや彼女は、微動だにしなかった。
「……今のうちに訊かせて、セリオルさん」
 あえてその場で、サリナはそう言った。
 彼女には、全てを聞く覚悟があった。しかし黒騎士の顔を見た時には動揺して硬直してしまった。ハイドライトでの戦いを経て固めていたはずの覚悟が、少し揺らいだ。
 でも、やっぱり……みんなが私を、助けてくれた。
 サリナの優しい兄であるセリオルは、この話題に触れるのを嫌がるだろう。それはおそらく、サリナが傷付くことを予見しているからだ。
 だがそれでも、サリナは知らなければならない。真実から目を背けては、前へ進むことは出来ないのだから。
「黒騎士は……あのひとは、誰なの?」
「……サリナ」
 セリオルが複雑な表情で口を開いた、その時だった。
「唸れ……」
 不気味な声が聞こえた。囁き声ほどのかすかな声だった。だがそれが黒騎士の口から発されたものであることを、サリナたちはすぐに理解した。全員が武器を構える。
「唸れ……私のアシミレイト」
 恐るべき強さのマナが噴出した。黒騎士を中心に、闇の柱が立ち昇る。
「へっ……ま、わかってたけどなあ!」
 カインは口元に不敵な笑みを浮かべ、犬歯をむき出しにする。しかしその額には汗が浮かんでいた。
 黒騎士の次の手はわかっていた。碧玉の座のケルベロスが敗れたのだから、次は瑪瑙の座だろう。
「闇の幻獣、瑪瑙の座……夢魔ディアボロス」
 聞こえたのは、オーディンの声だった。幻獣として仲間であるはずの闇の幻獣たちが世界の敵となったことを、彼らはどう思っているのだろう。フェリオはふと、そんなことを思った。
「心せよ、フェリオ。奴は強いぞ」
「ああ、わかってるさ」
 ゆっくりと、黒騎士が立ち上がる。その頭上には、おぞましい悪魔の姿が浮かび上がっていた。漆黒の身体に大きな1対の翼。鳥の翼のような優美さは無い。それは巨大な蝙蝠の翼のように鋭角的で、攻撃的な翼だ。
 黒騎士の鎧はぼろぼろのままだ。瑪瑙の座とのアシミレイトもやはり、幻獣が鎧化するものではなく、その肌にぴたりと貼りつくようにして融合を果たすようだった。飛ばされた剣に闇のマナが伸び、黒騎士の許へ宙を飛んで戻っていく。
「セリオルさん」
 マナを開放しながら、サリナはもう一度兄の名を呼んだ。彼の言葉を聞いてから、今一度あの強大な敵と戦いを交える。そうしなければ、決意が揺らいでしまう。
 黒騎士は戦いの準備を整えつつある。それでもサリナは待った、兄の言葉を。
 少しの沈黙を挟んで、セリオルは口を開いた。風のマナが解放され、翠緑の光が天を衝く。
「……彼女の名は、アルタナ。かつて幻獣研究所で、私やゼノアの同僚だった女性です。そして――」
 一度言葉を切り、セリオルは小さく息を吸い込んだ。瞳を閉じ、そして開く。
 意を決してセリオルは告げた、その真実を。
「そして、サリナ。彼女は君の……お姉さんです」