第66話

「またやっちゃった……」
 ベッドの上でがばと起き上がり、サリナは頭を抱えた。寝癖の髪が更にぐしゃりと歪む。そろりと隣のベッドを見る。当然、アーネスの姿は既に無い。ベッドは綺麗に整えられ、その上に小さな紙が1枚、置かれていた。
「なんだろ」
 もぞもぞとベッドから出て、サリナはその紙を手に取った。眠い目をこすりながら、紙を見る。そこにはこう書かれていた。
『早く来ないと昨夜の寝言、ばらしちゃうわよ』
「……え! 私、何か言ったかなあ!」
 その場でくるくると回りながら叫んで、サリナは大慌てで支度をし、部屋を出た。

 スピンフォワード兄弟の実家の居間。取り立てて広いわけではないその部屋の扉を開けて、サリナは固まった。
 仲間たちと、ジェフとクライヴ、シンディ。8人の視線が自分に集まるのを感じながら、彼女は部屋の中央、テーブルに満載された銀灰色の鉱石の山に目を釘付けにされた。鉱石を包んでいたのだろう布が広げられ、テーブルクロスの代わりようになっている。
「起きましたか、サリナ」
「お前ほんっとよく寝るよなー」
「いや、今日はまだ早いほうじゃないか?」
 仲間たちからの野次に顔が赤くなる。熱くなった頬を押さえながら、サリナはぺこりと頭を下げた。
「お、おはようございます……」
「いや早くねえっての!」
 カインの言葉に笑いが起きる。ますます顔が熱くなるのを感じて、サリナはしばらく頭を上げられなかった。
 サリナはアーネスの隣に腰掛けた。シンディが台所からパンと飲み物を運んで来てくれて、サリナは恐縮した。
 パンは今朝シンディが焼いたものらしく、バターの香りがして柔らかかった。お茶はアイゼンベルク特産の、爽やかな香りのハーブティーだった。起き抜けに飲むのにぴったりな、すっきりした味わいだった。
「気に入ってもらえると嬉しいわ」
 シンディの優しい微笑みに、サリナは大きく頷いた。
「はい、とっても美味しいです」
 シンディは嬉しそうに笑いながら、パンとお茶を運んだ盆を台所へ戻しに行った。
 お茶のカップをことりと置いて、サリナは改めて銀灰の鉱石の山を見た。部屋の明かりを反射して、きらきらと輝いている。アイゼンベルク鉱山で見た、あの鉱石だろう。皿とカップはテーブルの端になんとか置くことが出来た。
「あの、これは……?」
 状況がわからず、サリナは仲間たちとふたりの鉱夫とに視線を投げかけた。いち早く、カインが口を開いた。
「やーっと気づいたか。こんなに目立ってるのに、サリナ、観察力無いなー」
「え! いやあの、気づいてましたよ!」
 気づかないわけないじゃないですか、と言葉を続けようとしたサリナだが、それはその場の全員の笑い声によって遮られ、声にはならなかった。ぷうと頬を膨らませ、サリナは黙った。
「がっはっは! いやいや、お嬢ちゃん、こいつぁ俺たちからの礼よ、礼!」
 腕を組んで上機嫌に笑いながら、ジェフが答えてくれた。首を傾げるサリナに、クライヴが補足する。
「今朝一番で掘り出した、天狼玉の鉱石だ。知ってのとおり、高いマナ吸収・増幅力と再生能力がある。あんたらの旅に、少しでも役に立てばと思ってな」
「すごい! ありがとうございます!」
 サリナは立ち上がり、ジェフとクライヴに頭を下げた。ふたりが狼狽するくらい、彼女は全身で感謝を表していた。天狼玉。身をもってその能力を体感した、素晴らしい鉱石だ。きっとセリオルが、マナ・シンセサイザーで仲間たちに有用な装備に仕上げてくれるだろう。これでまたひとつ、力を付けることが出来る。
「い、いや、元はと言えば俺が起こしたことの後始末をしてもらったんだ。これくらいは当然だろ。礼を言うのはこっちだ」
 クライヴが驚いた様子でそう言ったが、顔を上げたサリナは彼の顔を正面から見つめ、さらに言葉を重ねた。
「これ、クライヴさんたちの新しい収入源ですよね? 村を立て直すための大切な資源です。今朝一番っていうことは、最初に掘り出された分ですよね。他の鉱夫さんたちの同意が無ければ出来ないことですよね。それを頂くのって、すごくありがたいことだと思います。ありがとうございます! 大切に使わせて頂きます!」
 一息で言い切って、サリナはもう一度頭を下げた。クライヴはもはや返す言葉を持たず、ただ頭を掻いた。ジェフはサリナを、ぽかんと口を開けて見ていた。仲間たちは何も言わなかった。皆、サリナの気持ちをよくわかっていた。
「な、言っただろ?」
 唯一口を開いたのはカインだった。彼はにやにやしながら、ジェフとクライヴを見遣った。
「うちのお嬢は、こういうのはすげえんだって。クライヴ、お前の考えなんてお見通しなんだよ」
 サリナは慌てて、胸の前で両手を振った。
「そそそんなことないですよ! お見通しだなんて、やめてください……!」
 そう言って、サリナは椅子に座り直した。お茶のカップを持ち上げ、俯いて口に近づける。その様子に、ジェフが大笑いをした。
「がっはっはっは! こりゃあ一本取られたなあ、クライヴ! 愉快じゃねえか、ええ? がっはっは!」
 無遠慮に笑う父に小さく溜め息をつきながら、クライヴはそれでも微笑んだ。彼はサリナと、彼女の仲間たちに向けて、改めて言った。
「おとといは悪かった。俺があんたらの力を見誤ってた。それに、助けてくれてありがとう。おかげでこの村はまた活気を取り戻せる。天狼玉は、旅に役立ててくれ。きっと強い武具になる」
 一行を代表して、セリオルがその言葉に答えた。彼は眼鏡の位置を直しながら、微笑んだ。
「こちらこそ、こんなにも頂いてしまって、申し訳ないくらいです。上手く加工して使わせて頂きます」
「お前も頑張れよ、クライヴ。俺らの代わりに、アイゼンベルクを盛り上げてくれ」
 カインがそう続け、それにクライヴは大きく頷いた。
 そこへシンディが、両手にひとつずつ、何かを持ってやって来た。彼女はそれらをカインとフェリオに手渡し、椅子に腰掛けた。
「おう?」
「おばさん、これは?」
 カインに手渡されたのは分厚い本、フェリオのものは何か粉状のものが詰められた袋だった。
「ルーカスとレナの形見よ。持って行きなさい」
「なぬ!?」
「父さんと母さんの、形見……?」
 ふたりはそれぞれの手渡されたものを開いた。
 カインの本は、中に様々な魔物の詳細な観察記録が記されていた。裏表紙にはレナの署名があった。レナは生物学が専門だった。その研究の一環として作成した本らしかった。
 フェリオの袋は、中に火薬が入っていた。それも、極めて純度の高いものだ。フェリオが自分で調合するよりも大きな火力を生み出せるのは間違いなかった。袋には、ルーカスのイニシャルが刺繍されていた。彼の父は鉱物学が専門だった。
「すげえ……お袋、ありがてえ!」
「父さん……。この火薬の配合を分析すれば、俺にも……!」
 ふたりは両親の偉大さを噛み締めた。自分たちの知識の遥か及ばないところに、両親の背中はあった。ふたりは魔物図鑑と高純度火薬を通して、両親の研究に懸けた思いを感じた。
 サリナはそんなふたりに、胸が熱くなった。そして同時に、ルーカスとレナの命を奪ったゼノアを止めなければという思いを、改めて強くした。幽閉されているという彼女の父も、いつ同じ目に遭うかわからないのだ。
 そうサリナが気持ちを引き締めていると、視界の端に金色の美しい糸の束のようなものが入った。アーネスが髪を掻きあげたらしかった。それで、サリナはあのことを思い出した。
「あの、アーネスさん」
 やや顔を俯かせたままでお茶を飲みつつ、サリナは横目でアーネスを見た。
「ん?」
 こちらの次の言葉はわかっているという雰囲気をあからさまに漂わせつつ、唇の端に少し意地悪な笑みを浮かべて、アーネスはこちらを向いた。
「あの、私昨夜、何か言いました……?」
 予想どおりの質問に、アーネスは楽しそうにくすりと笑う。それを見て、サリナは困ったような恥ずかしいような気持ちで、お茶に目を戻した。
「うふふ。内緒」
「ええーー」
 大きな声で抗議することが出来ないのが無念だった。

 ジェフ一家に見送られて急いでイリアス港へ戻ると、ちょうど船の準備が整ったところだった。休む間も無く、サリナたちは外洋を渡る大型船に乗り込んだ。
 大型船は大きな蒸気機関を搭載し、風に頼らない推進力で海を進んだ。その力強い走りは、これまで乗ったどの船よりも速かった。船室に荷物を置いて、サリナは早速甲板に出た。
 甲板では多くの乗客が、潮風に身を任せてくつろいでいた。陽が翳ると寒くなるだろうとサリナは思った。彼女も海面が眺められる甲板の縁へ移動し、海鳥の声を聞きながら大海原を眺めた。
 聖のリストレインがあるというエル・ラーダ自治区が存在するファーティマ大陸は、セルジューク群島大陸の遥か北西に位置する。
 ふたつの大陸の間に広がる海の北部を早掻の海と呼ぶ。潮の流れが速く、海難事故も多い海である。それに対し、南部は閑掻の海と呼ばれる。潮は穏やかで、航行にも安全な海である。
 イリアス港からエル・ラーダ港へは、閑掻の海を進む。航海は安全だった。大きな船なので、揺れもそれほど大きくはない。カインも酔い止めを念のために飲んだものの、飲まなくても症状は出なかったのではと思えるほど静かな旅だった。
 船の上で、カインはレナの図鑑から新たな魔物の知識を手に入れ、獣使いとしての能力に磨きをかけた。フェリオはルーカスの高純度火薬の配合を突き止め、それと同じ純度の火薬を製造することに成功した。
 また、セリオルはデブチョコボの許からマナ・シンセサイザーを持ち出して、マキナ島の魔物素材と天狼玉を使って、強力な武具を生み出した。それにはアーネスの武具に関する知識が大きな役割を果たした。
 セリオルによって、新たな騎士剣、盗賊刀に変形出来る短剣2振り、そして杖が生み出された。
 騎士剣はゼフィール遺跡に現われた、あの風の魔神の衣と天狼玉を合成して完成した。風のように軽く、素晴らしい切れ味を持つその剣は、ルーンブレイドという銘を与えられた。
 短剣はバタフライエッジと名づけられた。これもゼフィール遺跡に現われた、巨大な羽虫の翅を何枚も加工したものと天狼玉とで合成された。風を切る鋭さで、マナをよく馴染ませた。
 杖はその魔力増幅能力から、ウィザードロッドという名を与えられた。ゼフィール遺跡でマナを操る攻撃に長けていた、鳥型の魔物の羽根と天狼玉とで生み出された。セリオル自身のマナを増幅する効果もあり、これからの旅の助けになることは間違いなかった。
 サリナはマナを操る技術をさらに向上させた。いかに操るかよりも、彼女はその持続時間をいかに延ばすかに苦心した。元々白魔法の扱いに慣れている彼女は、短い期間で飛躍的にその修得を進めていった。身体への負担が大きくなりすぎないよう、マナを全身ではなく拳や脚、もしくは鳳龍棍にだけ纏わせるよう、上手く調節することに成功した。
 かくして彼らは、それぞれにその力を船の上で増すことに成功した。
 船旅は順調に進み、数日の後に彼らは、エル・ラーダ港へ到着した。

 エル・ラーダ港より北へ少しのところに、エル・ラーダ自治区の首都、花天の街エル・ラーダは存在する。チョコボを厩舎に預けて街に入り、サリナはその街の独特の雰囲気に圧倒された。
「す、すごい……」
 建物の壁は白く、地面は舗装されていない。緑が多く、また街の中を水路が走っているので、水の音が絶えず耳に入ってきて心地良い。そして何より、この街の最大の特徴にサリナたちは息を呑んだ。
「花天の街とは、よく言ったものですね……」
 茫然とした様子のセリオルの視界を、色とりどりの花の大群が埋め尽くしていた。建物という建物には、シンボルツリーとして多くの花をつける木々が植えられている。通りも全て並木になっており、それらの枝には赤や黄、桃色など、見る者を楽しませる無数の花が咲き誇っていた。
 また、温暖な気候のためか、街の住人たちは肌を多く露出させている。その日焼けした様子と花の群れとが生み出す雰囲気のためか、まるでその街は夢の世界に迷い込んだかのように、陶然とした空気に包まれていた。
「発祥が果樹園だって言うから、その名残なのかな」
「名残っていうか、全力で主張してる感じだけどな」
 クロイスの言葉に、フェリオは確かにと頷いた。
「でも、綺麗でいいですね。なんだか楽しい気持ちになります」
 うきうきした口調でサリナがそう言うと、仲間たちも同調した。
 この街は花天の街と呼ばれ、この花の大群で、観光客を集めている。また、数多くの種類を誇る果物類も名物である。温暖な気候のため、果物はよく育った。言うなれば街全体で果物を育てているのだが、それは街中を走る水路の力によるところが大きい。
「ブルムフローラ伯爵ってのは大したひとなんだな。これだけの治水を完成させるなんて」
 街を歩きながら見渡し、フェリオは感心した様子だった。エル・ラーダの水路はリプトバーグのものに匹敵する規模である。リプトバーグは統一戦争時代の、軍事開発の影響を受けて進んだ建設技術とマナ技術とによって築かれたものだったが、エル・ラーダは違う。
「そうだなあ。一代でここまでの街にしたんだろ? 大したもんだよな」
 カインの言葉に頷き、アーネスはエル・ラーダの歴史について語った。
 エル・ラーダ自治区はかつて、小規模な集落が点在するだけの、人口も街の規模も小さな自治区だった。それぞれに農業や水産業を営み、自給自足の生活をしていた。ブルムフローラ家は昔から自治区の――自治区制が敷かれる以前は、住民であるラーダ族の――長としてこの地を治めていたが、歴代の当主たちは現状を維持することには注力しても、民族としての発展までは望まなかった。
 そこに現われたのが現在のブルムフローラ伯爵、ラッセル・フォン・ブルムフローラだった。彼はそれまでに無かった斬新な発想で、自身所有の果樹園とそれを維持するための人々を住まわせていた集落を、自治区の目玉にしようと考えた。果樹園で栽培される果物は王国全土へ出荷されており、その人気は非常に高かったためだ。
 伯爵は果樹園の拡大を始めた。水路を整備し、莫大な時間と金を使ってこの地を開発していった。果物は作れば作るだけ売れ、かけた経費は何倍にもなって戻って来た。民は喜んだ。労働は増えたが、それに見合う以上の見返りがあった。暮らしは豊かになり、村は街となった。
 かくして首都エル・ラーダは、伯爵の生家があった街から現在の場所へと移された。住民たちはこぞって新しい首都へ移住し、果物の栽培と観光業とに精を出すようになった。
 そんなアーネスの解説を聞きながら、一行は宿を探すべく街を歩いた。どこを歩いても花と果物の香りがする。カインは始終、鼻をくんくんさせてアーネスに叱られた。
「宿を取ったらどうするの? そのまま伯爵のところへ行ってみる?」
 目抜き通りを歩きながら発されたアーネスの問いかけに、セリオルは眼鏡の位置を直しながら答えた。
「ええ。何の約束も無いのに会って頂けるかわかりませんが、ひとまず行ってみましょう」
「どんなひとだろうな。楽しみだ」
「うう。緊張するなあ」
 正反対の反応をしたフェリオとサリナに、セリオルが笑う。フェリオはサリナに苦笑し、サリナは顔を赤くして下を向いた。
「うまく協力してもらえるといいですね」
 下を向きながら、しかしサリナは強い意志の篭った声で言った。言葉尻とは裏腹に、協力してもらえないと困るということを感じさせる声だった。
「自治区制がとられるようになってからは、王国とも関係は良好だそうですから、あとは私たちを信じてもらえるかどうかでしょうね」
「それより前は関係良くなかったのか?」
 頭の後ろで手を組みながら質問したクロイスに、セリオルは頷いた。
「イリアス王国は統一戦争に勝ってエリュス・イリア全土を統一しましたが、それは世界の大部分を支配下に置いていたヴァルドー皇国を打倒した結果に過ぎません。セルジュークの民は元々王国に恭順でしたが、それ以外の民族たちからしてみれば、支配者がヴァルドーからイリアスに変わっただけのことだったんですよ」
 クロイスは納得したように呻き、言葉を続けた。
「なるほどな。それでじいちゃんたち、ぶつくさ言ってたのか」
「じいちゃん?」
 サリナ、カイン、フェリオの3人が声を揃えてオウム返しをした。自分の何気ないひと言に仲間たちが大いに反応したことに、クロイスは困惑した。しかしすぐに彼はその理由を理解した。
「ああ、俺の直接のじいちゃんじゃねーよ。俺、もう身内いねーから」
「いや、じゃあ誰のことだ?」
 フェリオの質問に、クロイスは一瞬、頭を巡らせた。そして口を開く。
「あ、話してなかったか。わりーわりー」
 足を止めて自分に注目する仲間たちの中で居心地の悪さを感じつつ、彼は続けて話した。
「俺、ドノ・フィウメの生まれなんだよ。こっから北東の自治区。じいちゃんってのは、そこの長老。昔よく遊んでもらってたんだ」
「そういうことですか。ドノ・フィウメといえば、山間の街ですね。今度行ってみましょうか」
 そう言って歩みを再開したセリオルの背中に、クロイスは呟く。
「いやー、やめたほうがいいかもな。なんかガキのころ、いっつも王国の悪口聞いてた気がするぜ」
「あら、そうなの?」
 アーネスのやや残念そうな響きの声に、クロイスは慌てて首を振った。
「いや、今思い返してみたらってだけだけどな。あんまよくは覚えてねーし」
「くっくっく。お前、フォローへったくそだなー」
 愉快そうに笑うカインの脛を蹴って、クロイスはセリオルの前に隠れた。カインは怒鳴り声と泣き声の間のような声を出して、サリナに回復の魔法を懇願し、アーネスに呆れられた。
 一行は目抜き通りから少し逸れ、宿屋の並ぶ通りへ入った。2室6名で上手く宿泊の取れたその宿は、“瑞花の果実亭”といった。花天の街の宿に相応しいその名を、サリナは大いに気に入った。
 先代から引き継いだばかりだという愛想の良い若い夫婦の営む宿に荷物を預け、一行はブルムフローラ伯爵家へと向かった。それは街のどこからでも見つけることの出来る大きな建物である。目印になるのは、たまねぎのような形をした、白亜に輝く美しい屋根だ。
 あそこに、聖のリストレインがある。新たなリストレイン、そしてまだ見ぬ聖のリバレーターとの出会いを胸に描いて、サリナは花天の街の通りを歩む。