1.世界設定

1.1.エリュス・イリア
 物語の舞台となる、光と緑に溢れた豊かな世界。マナと呼ばれる魔法エネルギーによってあらゆる生命が息づく。光纏う獣、幻獣を神として崇める文化が浸透しており、街や村によっては特定の幻獣を守護神として祀っている。文明レベルは産業革命以前の近代ヨーロッパ並み。統一戦争によって失われたマナ文明を補完するように、蒸気機関による技術が発展しつつある。

■地理

 エリュス・イリアは3つの大陸と無数の島々、そして3つの海で構成される。
 南東のセルジューク群島大陸には王都が存在し、世界政治と経済の中心地として繁栄している。
 その他に北西のファーティマ大陸、北東のカラ=ハン大陸、南西のアイユーヴ諸島などが、主な文明圏として人々の生活の地となっている。詳しくは「世界情勢」の項を参照のこと。
 セルジュークファーティマ、カラ=ハン、アイユーヴに囲まれる範囲が文明圏である。文明圏内の海はマムルーク島とアッバース島を境にして南北に分かれ、南部を“閑掻の海”、北部を“早掻の海”と呼ぶ。閑掻の海は穏やかで波が低く、早掻の海は波が荒くて海難事故が多い。
 また、文明圏の外の海は総称として“外海”と呼ばれる。


■世界情勢
統一国家イリアス

エリュス・イリア全土を統治する巨大な王国。およそ400年前の統一戦争によって世界を統一した。国王が君臨する王政を敷く。国王の下には宰相と執政官がつき、それぞれ政治と軍事を支えている。宰相の更に下に6人の政務官がつき、その下には各省庁が配されている。執政官の下には王国軍が存在する。王国軍は大きく、王国騎士団軍事開発部に分かれる。

身分制度
エリュス・イリアには身分制度が存在する。それほど厳格なものではないが、税を納める側とそれを使う、もしくはそれで生活する側に大別される。王家貴族騎士の名は、姓と名の間に“フォン”の詞が入り、「〜家の」という意味。

王家
国王の一家。身分制度の頂点。時代によって多少の変化はあるが、基本的には勇王ウィルムの直系一族である。現在の国王はヴリトラ・アプサラス・ウィルム・フォン・イリアス。その他、王妃、第一王子、第一王女、そして第一王子の一家である王子妃と王子の息子がいる。
貴族
王家の親族やその分家など。その血縁の濃さやこれまでの功績などによって、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順に位階が設けられている。しかし現在では血縁関係よりも能力のほうが重視される傾向が強く、功績によって爵位を与えられた男爵が、出世して伯爵になるなどの例も少なくない。貴族は国王の政治を補佐する役割を担い、18歳で成人と見なされて男子は国政の一部に組み込まれる。その頂点が宰相である。なお、自治区を治める貴族たちは伯爵の爵位を授かっているが、国政を担うわけではない。
騎士
徴兵や志願によって王国軍に入った者が、その功績によって与えられる地位。一度与えられると、貴族と同等の扱いを受けることが出来るようになる。貴族同様、世襲によってその地位を継承するが、実力不足と見なされると剥奪されることもある。貴族とは異なり、王国軍内での地位がそのまま位階となる。騎士家も18歳で成人とされ、その男子は王国騎士団か神殿騎士団のどちらかに入団することが義務付けられている。騎士の頂点は執政官である
庶民
王家貴族騎士に税を納める立場の一般市民。エリュス・イリアのほとんどの民がこれに当たる。庶民の多くは、上位階級に対して恭順である。とはいえ多くの上位階級の者たちが庶民無くして己の暮らし無しという考えに基づき、庶民に対して丁寧に接するため、イリアス王国の階級制度はさほど厳しいものではない。

王国軍
イリアス王国の軍事を担う。王国騎士団軍事開発部のふたつの組織から成る大規模な軍隊。統一戦争内乱の頃にはその軍事力を遺憾なく発揮した。現在ではその戦闘力が揮われる事態はほとんど無くなったが、彼らの訓練や開発はいつでも実践投入できるだけの精度で行われている。

王国騎士団
騎士たちと庶民からの志願兵によって形成される軍隊。内乱以降、戦闘としては自治区との小競り合い程度の戦闘が最大規模のものであり、通常の任務は王国全土の警邏や犯罪の取り締まりなど。とはいえその中で隊や団をまとめる立場の者たちの戦闘能力は一流である。王国騎士団は騎士団長をその頂点とし、その下に金獅子(きんじし)隊と銀狼(ぎんろう)隊というふたつの騎士隊が存在している。
軍事開発部
王国騎士団が戦闘に使うための武具や兵器の研究開発を担う組織。その性質上、学問機関との関わりも強く、その一部を下部組織として併合している。幻獣研究所もそのひとつ。

自治区制
およそ200年前に起こった内乱を機に始まった自治制度。統一戦争以前にイリアス王国でなかった地域の実質的な権力者たち(かつての統治者たち)が、それぞれの領地権を獲得するかたちで始まった。近年まで自治区の領主たちと王国は反目が絶えなかったが、ヴリトラ王が彼らに貴族の地位を与えてからは王国に協力的な自治区が増え、税制にも組み込まれるようになった。自治区間で格差が生まれることを防ぐためと、領主たちのプライドを守るため、彼らには一様に伯爵の爵位が与えられる。

■歴史
統一戦争から現在に至るまでの年表は下記のとおり。





1.2.マナ
自然の生命や魔法の源となるエネルギー。魔法とはマナを操り、一定の法則のもとで性質を与え、変質させたものである。エネルギーそのものであるマナと、炎や風などの属性を帯びるマナが存在し、後者は特に属性マナと呼ばれる。

■集局点
エリュス・イリアにおける幻獣の住処と呼ばれる場所。各属性マナが局所的に高まり、濃度を増している。多くの場合、そのマナが自然環境にも影響を及ぼしている。

■マナストーン
マナを内包した魔法の鉱石。一定の衝撃を加えて、内部のマナを活性化させないと効果が無い。マナの力を使った様々な道具に使用されるが、産出される数が少なく加工も難しいため、一般には普及していない。統一戦争時代に多く採掘され、その技術が進歩したが、主に兵器向けへの開発だったため日用品としての進化は少なかった。


マナストーンボックス
武器にマナを纏わせるための道具。マナストーンは同時に3つまでセット可能で、一度セットしたマナストーンマナを放出し尽くしてしまうまでは武器にマナを送り続ける。3種のマナストーンは別々の属性でも同じ属性でも構わない。






1.3.幻獣
エリュス・イリアで守護神として崇められる光を纏う獣。世界を構成するエネルギー源、マナの化身。炎、水、風、地、雷、力、聖、闇の8種が存在する。人間に姿を見せるのは稀。見た者は幸福を得られると伝えられている。
幻獣は3段階の“座”に区別される。第3位が“碧玉の座”、第2位が“瑪瑙の座”、そして第1位が“玉髄の座”と呼ばれる。

■幻獣神教
エリュス・イリアに広く浸透している幻獣信仰。幻獣を守護神として崇め、奉る。各地の村や街の多くには、それぞれの恵みに感謝する幻獣の像などがある。王都の大神殿が総本山である。教会など、信仰のための施設はほとんど存在しない。人々が日常的に幻獣に祈り、感謝すること自体を指す。そのため、経典などは無い。




1.4.クリスタル
マナの力の結晶体である宝石状の物質。代表的なものは神晶碑幻獣リストレインにおさまる時の球状のものなど。

■神晶碑
エリュス・イリアのマナバランスを司るクリスタルの碑。瑪瑙の座の集局点に存在する。本来はモーグリエルフたちのようなマナの精霊たちの力が無ければ封印を解いて実体化したものを見ることはできない。創世記に、人間界のマナを保つためにフェニックスによって生み出された。現在では世界樹を守るための封印の役割もエルフによって付与されている。

マナ・シンセサイザー
合成に使う合成器。3つまでクリスタルをセットして合成を行う。通称「釜」。マナによる操作で魔物素材を加工し、武具を造り上げる。分解可能。覗き穴付きのずん胴と操作機で構成される。






1.5.世界樹
 マナを生み出し、植物、鉱物、動物、空、海、森等の自然環境を守る、太古から存在する大樹。幻獣界と人間界に渡って存在するとされている。




1.6.リバレーター
 幻獣を使役する者。リストレインというアイテムを身に付け、その機能で幻獣の力を呼び出す。幻獣の力を操るリバレーターは人智を超えた力を手に入れる。




1.7.リストレイン

リバレーター幻獣をつなぐ楔。本来は不定形の液状物質で、属性ごとの色を帯びる。
リバレーター幻獣の力を呼び出す時、その力を宿してリバレーターを守る鎧となる。




1.8.統一戦争
 およそ400年前、マナを占有しようとしたヴァルドー皇国皇王パスゲア・フォン・ヴァルドーが領土拡大のために隣国に攻め込んだのがきっかけで始まった世界大戦。優れた軍事力で突き進むヴァルドーを止めたのは、幻獣に認められたイリアス王国国王、ウィルム・フォン・イリアスだった。
 彼は自ら戦線に赴き、6人の将軍とともにアシミレイトの力で戦争を終結させた。その後リストレインは王国によって保管される。しかし200年前の内乱で一部貴族の離反や自治区の確立があり、大半のリストレインは行方不明になってしまった。




1.9.内乱
 およそ20
年前、イリアスの圧政に反発した各部族が一部の貴族に取り入って起こした反乱。その結果イリアス国内にいくつかの自治区が生まれた。しかしその後も自治区の統治者たちは王国に完全なる恭順の意は示さず、自治区と王国の境で小競り合いが発生することもしばしばあった。




1.10.幻獣研究所
 王都イリアスの学究街区に存在する国立の研究機関。幻獣マナの研究をしている。統一戦争時代のアシミレイト技術の秘密を解明するのが使命。その過程でマナ科学や世界樹のことなど、様々な事実を発見した。エルンストが所長を務める。




1.11.大枯渇
 物語開始時から約半年ほど前、セルジューク群島大陸の北東に浮かぶマキナ島で発生した局地的で大規模なマナの枯渇現象。森が一夜で砂漠と化した。本来は100年単位で発生する大天災だが、この時の大枯渇は30年ぶりだった。




1.12.地名
■ハイナン島

 セルジューク群島大陸の南東に位置する島。永く大陸と交流が無かったため、独自の中華風文化が根付いている。気候は温暖で、四季がある。主な産業は農業と漁業。近年は大陸からの観光客も増え、フェイロン村では土産物用に木彫りの人形やハイナン服と呼ばれる絹製の衣類が盛んに生産されている。

――村・街
フェイロン
ハイナン島東部に存在する村。緩やかな丘陵地帯に発展した集落で、農業と山河の恵みを得ることで主な生計を立てている。田畑と牧場、村を流れる小川が牧歌的な光景を形作り、そうしたのどかな風景が観光客によくうけている。サリナとセリオルが暮らす村で、物語の始まりの場所。
ユンラン
ハイナン島西部に存在する村。海沿いの漁村。港は漁師たちの活気溢れる声で賑やかである。村の中心部には切り立った岩山が腰を据え、その上部には幻獣リヴァイアサンを祀る祭壇がある。
温泉も名物のひとつで、岩山から湧き出す豊かな湯を、麓の宿などで楽しむことができる。
サリナたちが宿泊したのは“海原の鯨亭”。
――ダンジョンなど
野盗の砦
最近大陸からハイナンに渡ってきたらしい野盗たちのアジト。森の中に砦を建設し、そこを根城にしている。最上階は頭領の部屋になっており、手に入れた金目の物の多くはそこに保管している。
蒼霜の洞窟
フェリオが、蒸気機関の排熱装置に有効な特殊な鉱石を発見した洞窟。


■セルジューク群島大陸
世界地図の南東部に存在する大陸。ヴェルニッツ大河によって3つの陸地に分断され、かつてはそれぞれが大きな島と認識されていたため、群島大陸と呼ばれている。王都イリアスが存在し、統一国家イリアスの中枢機能を担う大陸である。

――村・街
ロックウェル
工業の街と呼ばれ、世界で最も機械工業の発達した街である。スピンフォワード兄弟が暮らす。街中にベルトコンベアが張り巡らされ、技術者たちの工房を繋いで彼らの連携の助けとしている。シドの工房もこの街に存在する。
リプトバーグ
穀倉の街と呼ばれる、農業の盛んな街。統一戦争時代の遺物である高い壁が街路を区画しているため、慣れない者は迷子になることが多い。年に一度、収穫祭と呼ばれる豊作を祈願する大々的な祭りが開催される。
サリナたちが宿泊したのは“豊穣の麦穂亭”。
イリアス
王都。統一国家イリアスの名を冠する首都であり、世界の中心。王家の住む王城のほか、幻獣を祀る大神殿や政治を司る各省庁、王立の研究機関、学校等の教育機関など、王国の様々な機能の中心。人口は100万人程度。リプトバーグの数倍の規模の城下町がある。
城下町は王城を中心として帯状に広がる省庁街区にはじまり、北西、北東、南東、南西の4街区に分けられる。各街区を区分する、王城を中心として東西と南北に走る4本の大通りがあり、北を金獅子通り、東を蒼龍通り、南を銀狼通り、西を紅虎通りと呼ぶ。
北西の街区=貴族街区。貴族騎士たちの住居と大神殿がある。
北東=学究街区。教育機関のほか、研究施設も並ぶ。幻獣研究所もここにある。
南東=庶民街区。一般庶民の住むエリア。
南西=商業街区。商店や宿などが並ぶ。
サリナたちが宿泊したのは“騎士の剣亭”。
クロフィール
森林の街。王都イリアスの北にある森の中の街。静かで自然の多い、美しい街で、他の街との交流は少ないが住人は閉鎖的ではなく、皆親切である。木漏れ日と葉鳴りの音の中での暮らしに憧れ、都会から引っ越してくる者もいる。
サリナたちが宿泊したのは“大樹の木漏れ日亭”。
アーヴル
マキナ島へ向かう船を出す港。崖上の小さな小さな村でもある。船は断崖下に就けており、その海の恵みも村を潤している。
イリアス港
セルジューク群島大陸から他の大陸や島へ向かう船の発着する港。街と呼んでも差し支えないくらいの規模の人口を誇る。
アイゼンベルク
鉱床の村。クロフィールの北東、山肌に沿うようにひっそりと広がる。山の自然と豊かな鉱物資源を主産業とするが、これまで主力だった鉄と銅の産出量が落ち、村は転換期を迎えている。カインとフェリオの故郷。ルーカスの兄家族が暮らしている。
――ダンジョンなど
風の峡谷
風の集局点のひとつ。幻獣ヴァルファーレの住処。常の風の吹く谷で、飛空艇の推進力に使われる風鳴石が採掘される。その特異な環境に適応した、様々な不思議な生物が生息している。
セルジューク地下洞穴
ヴェルニッツ大河の下に広がる洞穴。かつては大河を渡るための交通手段として利用されたが、現在では大河に橋が架けられたため利用者も無く、魔物の巣窟と化している。
試練の迷宮
王都イリアス王城の地下に広がる魔法の迷宮。挑む者にいくつもの試練を課し、その力と心を試す。巨大な地下空間に縦横無尽に石造りの階段が張り巡らされ、石の壁で区切られた無数の部屋が存在する。内部では幻獣の力を借りることが禁じられる。
アイゼンベルク鉱山
アイゼンベルクの村から続く鉱山。大陸随一の鉄と銅の産出量を誇ったが、現在はそれらの鉱床が枯れつつある。内部にはトロッコやそのレールが走る。


■マキナ島
セルジューク群島大陸の東に存在する、南北に長い島。物語開始の半年前、大枯渇に見舞われている。温暖な観光地で、海とジャングルの恵みが豊富。大枯渇以前は、島全体が大陸の貴族騎士たちのリゾート地だった。

――村・街
マキナ
勧業の街。島のジャングルを切り拓いて建設された街で、初めからリゾート地として開発された。街の中を川が流れ、鮮やかな花々とあいまって美しい景観を生み出している。
サリナたちが宿泊したのは“雨林の夕立亭”。
――ダンジョンなど
ゼフィール遺跡
かつてマキナ島に栄えた風の王国の王城。その詳細は明らかになっていないが、かなり高度なマナ文明を持っていた。遺跡は大枯渇によって発生した砂漠の中心に存在している。石造りの巨大な城で、かつては常に風の吹く、風の集局点だった。
水晶の泉
水の集局点で、オーロラの住処。水面はガラスの結晶が散りばめられたように光を反射して輝き、この世のものとは思えぬほどの美しい景観を見せている。マキナ島の北部の森の中に存在し、その水はマナの恵みを豊富に含む、聖なる水である。


■ファーティマ大陸
世界地図の北西部に存在する大陸。ユーフラテス大河によって3つの地域に分けられ、それぞれエル・ラーダ自治区、ドノ・フィウメ自治区、ナッシュラーグ自治区として自治を確立している。

エル・ラーダ自治区
かつては小規模な集落の集まりでしかなかったが、現在のブルムフローラ伯爵によって飛躍的に発展した自治区。その勢力は拡大の一途を辿っている。温暖な気候で果物が特産品だが、マナバランスの崩壊以降はその収穫高が下がり、経済的な打撃を受けている。エスニックな雰囲気の自治区。

――村・街
エル・ラーダ港
エル・ラーダ自治区の海の玄関。それほど大きな港ではないが、温暖な海特有の幸を揚げる漁港でもある。
エル・ラーダ
花天の街。エル・ラーダ自治区の首都であり、領主ブルムフローラ伯爵が住まう“沙羅の宮”と呼ばれる宮殿が存在する。沙羅の宮は沙羅の花のように白く美しい宮殿で、玉ねぎ型の屋根が特徴的。街には果樹とその花が溢れ、全体が華やかな香りに包まれている。
サリナたちが宿泊したのは“瑞花(ずいか)の果実亭”。
――ダンジョンなど
聖獣の森
聖の集局点で、純白の森。植物、土、生物、全てが白に包まれている。暖かい森だが、一見すると雪に覆われているように錯覚する。幻獣カーバンクルの住処で、ブルムフローラ家は代々この森で祈りと舞いを奉納し、カーバンクルの守護を得ている。


■アイユーヴ諸島
世界地図の南西に位置する諸島。アイユーヴ本島と、アクアボルト島をはじめとする島々で形成される。古来よりの自然・幻獣崇拝と、高級な娯楽とが共存する地域である。

アクアボルト自治区
アイユーヴ諸島をその領域とする自治区。経済的に大変豊かな自治区で、その経済力は専ら首都アクアボルトの、カジノを中心とする貴族騎士、豪商たちをターゲットにした高級娯楽施設の収益による。しかし栄えるのは首都ばかりで、領域の大半を占めるアイユーヴ本島やその他の島に住む民たちは、自然の中で昔ながらの狩猟を中心とした暮らしを送っている。

――村・街
アクアボルト
享楽の街。アクアボルト自治区の首都で、王都にも負けぬ洗練された街。カジノやチョコボレース場など、金持ち向けの豪華な娯楽施設が並ぶ。かつての領主が経済的な発展を目指して進めた政策だったが、それがかつての幻獣への信仰や自然への感謝を忘れさせた。
フォグクラウド
雲霧の村。アイユーヴ島雷光の森に存在し、アクアボルト自治区の民、ユーヴ族が昔から住む村。諸島に存在するユーヴ族の村の中で最大規模であり、本来の族長である領主を差し置いて、現在ではこの村の長老がユーヴ族の実質的な長であると認識されている。
サリナたちが宿泊したのは“雲霞の鳴神亭”。
――ダンジョンなど
雷光の森
アイユーヴ本島に広がる迷いの森。上空は常に雷雲に覆われている。森の各地に、アイユーヴの民の集落が点在する。出現する魔物は雷の属性を帯びたものが多く、プリンなどのアルカナ族も存在する。
雷帝の館
太古から存在する巨大な洋館。雷の力の集まる魔法の館で、雷の集局点であり、幻獣ラムウの住処。内部はどれだけ激しい戦闘をしても壊れない調度品がしつらえられている。雷の力を使った仕掛けや魔物、機械兵器などが存在する。



■その他の地名

セルジューク群島大陸インフェリア州
セルジューク群島大陸の西部。ロックウェル風の峡谷などが存在する。
セルジューク群島大陸セレスティア州
セルジューク群島大陸の南部。リプトバーグなどが存在する。
セルジューク群島大陸スペリオル州
セルジューク群島大陸の東部。王都イリアスアイゼンベルクなどが存在する。
ヴェルニッツ大河
セルジューク群島大陸を3分割する大河。水源からすぐに三又に分かれるが、統一してヴェルニッツ大河と呼ばれる。北、南西、南東それぞれを北ヴェルニッツ、西ヴェルニッツ、東ヴェルニッツという。
カルデロン大橋
西ヴェルニッツに架かる橋。セルジューク群島大陸インフェリア州セレスティア州を繋ぐ。
エインズワース大橋
東ヴェルニッツに架かる橋。森の先にある橋。森の手前には宿泊所もあり、旅人たちの休憩所となっている。
閑掻の海(しずがきのうみ)
アッバース、マムルーク両島の南の海。穏やかで波が低い。
早掻の海(はやがきのうみ)
アッバース、マムルークの北の海。波が荒く、海難事故が多い。
外海
文明圏の外の海。未開の海で、船が航海に出ることは無い。
アクアボルト島
アクアボルト自治区の首都、アクアボルトが存在する島。アイユーヴ島の入り江の中に浮かぶ小さな島。
アイユーヴ島
アイユーヴ諸島最大の島。フォグクラウド雷帝の館などが存在する。上空は雷雲に覆われ、常に稲妻が走り、雷鳴が轟く。
ユーフラテス大河
ファーティマ大陸に流れる大河。エル・ラーダ、ドノ・フィウメ、ナッシュラーグの3自治区を分ける境界線になっている。




1.13. 蒸気機関
 蒸気の力で動く機械のこと。主に動力として使われる。統一戦争時代のようにマナを日常的に扱う便利な技術が失われた現在では、蒸気機関がそれに代わる力として注目されている。フェリオは一人前の蒸気機関技師を目指している。




1.14. チョコボ
 2本足で歩く大型の飛ばない鳥。黄色いものが個体数としては最も多いが、様々な色のものが存在する。現在確認されているのは、黄色以外には、属性マナと同数の8色。エリュス・イリアで、チョコボは騎鳥とも呼ばれる。チョコボがひく荷車を騎鳥車という。力が強いので、人々の生活の様々な場面で役に立っている。




1.15. 飛空艇
 空飛ぶ船。一般的には普及していない。保有するのは王家と一部の貴族のみで、彼らが遠隔の大陸へ移動する時等にのみ使用される。数が少ないのは、一度飛ばすだけで莫大なコストがかかるため。




1.16. 王都の施設

王城
国王と初めとする王族が住まう城。王都の中心に位置し、高く聳える塔を中央に配し、その周囲を荘厳な造りの城壁が囲う。統一戦争時代の優れたマナ技術が活かされている。内部は王族たちの寝所や大食堂などの生活の場の他、それぞれの執務室や会議室などの政務<に使われる部屋、宴会場や客室などの迎賓のための部屋、王国騎士団の詰め所や訓練所などが存在する。
大神殿
幻獣神教の総本山。法王を最高指導者とし、大司教、司教、助祭の位階が存在する。幻獣神教の法王は助祭以上の位階者による選挙で選出される。カトリックで言う枢機卿は存在しない。幻獣神教エリュス・イリア全土に浸透しているため、布教などの活動は行わない。大神殿は人々の祈りや懺悔の場として存在し、心の拠り所となっている。
鳳翼殿
国王側近のみで構成される組織。国王直々の勅命や秘密裏の仕事をこなす。
王立高等学院
王都イリアスの学究街区にある学校。16歳から入学が可能で。白魔法、黒魔法、青魔法、マナ学、幻獣学などの魔法系学問や、数学、物理学、天文学、鉱物学、歴史学、文学等々の通常の学問分野も存在する。専門の図書館がある。
王立職業訓練校
王都イリアスの学究街区にある職人を養成する学校。高等学院と同じく16歳から入学できる。革細工、彫金、鍛冶、木工、錬金術、織工、調理、骨細工等の技術を修習できる。
国王府
省庁街区に存在する重要な政治機関。国王の政務を補佐する目的で作られた組織で、6人の政務官が常駐する。ほとんどの政治的な手続きは、国王の前に国王府を通ることになる。




1.17. 種族

人間
サリナたちのような通常の人間族。エリュス・イリアに最も多く分布して活動している種族で、自他共に認めるエリュス・イリアの実質的な主である。
ラーダ族
人間の中でエル・ラーダ自治区の民を指す。踊りの技術に優れる。温暖な気候のため、肌を露出している者が多い。そのため日焼けしており、褐色の肌の民族と思われがちだが、日焼けしてるだけである。
・ユーヴ族
人間中のアクアボルト自治区の民を指す。自治区制が始まった後、アイユーヴ本島アクアボルト島に分かれて住むようになった。アイユーヴの民は、発展と享楽を求めたアクアボルトの民がアイユーヴを田舎扱いしていることを不愉快に思っている。
モーグリ
マナの精霊。3頭身くらいのぬいぐるむのような姿で、全身を白く短い毛で覆われている。猫のような耳と細い目、丸い鼻、そして頭にくっついているぼんぼりが特徴。多くは肩掛けのポシェットを携帯しており、その中に様々な物を入れている。モグテレポモグテントといった特技が使える。
エルフ
世界樹を守ると言われる種族。マナに親しい存在で、限りなく精霊に近い。マナの扱いに長け、戦いとなれば豊富な魔法と弓で武装する。神晶碑世界樹を守る封印の役割を与えた種族。




1.18. その他

ファンロン流武闘術
ファーティマ大陸、銀華山を総本山とする武術の一派。天の型と地の型に大きく分かれる。天の型はスピードを威力に変換する回避と速撃の武術、地の型は筋力を重視する守りと重撃の武術。サリナはこの武術の師範代の腕前を持つ。
モグテレポ
モーグリの特技のひとつ。知り合いのモーグリがいる場所ならどこにでも瞬時に移動できる。
モグテント
モーグリの特技のひとつ。安全な場所で魔法のテントを張り、中で休むことが出来る。テントを張るための呪文は「クポポ。テンテンクポクポ。テンクポポ」。
モグチョコ
正式名はモーグリチョコボの笛。吹くと特定のモーグリを呼ぶことが出来る。
王都役人登用試験
王都の各省庁や役所で働く人材を選定する試験。主に知識テストが行われるが、受験資格として白魔法、黒魔法、時魔法のいずれかの初級認定を受けている必要がある。登用は22歳から(王立高等学院卒業相当)で、通常、高等学院では各魔法の初級認定は卒業単位のひとつとしてカウントされる。高等学院へ通わずとも、登用試験を専門にする専門学校もある。
竜王褒章
科学研究の分野できわめて優れた功績を修めた人物に、イリアス王国国王から直々に授けられる褒章。イリアス王国統一後に設けられた制度で、全ての科学者の憧れ。
鳳凰褒章
文化的な分野で事績著明なる人物にイリアス王国国王から直々に授けられる褒章。竜王褒章と同時に設けられ、文化人の崇拝の対象となっている。
ブラッド・レディバグ
血の色の天道虫。魔物に寄生させてそのマナを異常に増幅させ、強大な力を与える。宿主の魔物が死亡すれば一緒に死ぬ。
インフリンジ
侵食の力。闇のマナを魔物に注入し、凶悪化させる。高度化されたインフリンジは、凶悪化させた魔物に空間を侵食させて召喚することを可能にする。
魔法文字
幻獣たちの言葉。魔法の呪文は、魔法文字を解読して編み出された。
クリプトの書
世界の伝承や、マナに起因すると思われる出来事などがまとめられている古の書。古い魔法文字で書かれている。統一戦争時代から伝わるもの。
雷轟
雷帝の館周辺で稀に起きる、大規模な放電現象。ユーヴ族の信仰の対象になっていた。
リンドブルム
純白の大型外輪蒸気船。純白の船体には朱色の蔦模様が描かれている。蔦は船首で集まって太陽のマークになり、舳先にはリヴァイアサンの像が鎮座する。“海陽の船”とも呼ばれる。
チョコボレース
アクアボルトで開催されるチョコボたちのレース。5段階のランクがあり、下からブロンズカップ、シルバーカップ、ゴールドカップ、プラチナカップ、レジェンドカップ。
アーユル・パドマ
沙羅の宮専属で働く医療集団。香油を使ったマッサージやアロマテラピーを行う。