第196話

「響け、私のアシミレイト!」
 5体に増えた闇のモルボルを引き連れて走りながら、シスララは聖霊の鎧を纏った。純白の光が輝き、聖霊セラフィウムの祝福を受けた聖なる戦士が生まれる。
 セリオルが飛ばしたらしいスペクタクルズ・フライは、シスララとソレイユにある伝言を残した。
 曰く、この闇の軍勢による侵攻を食い止めるための秘策、ということだった。
 追ってくるモルボルたちの気配を背中で感じながら、シスララは空を見上げる。この大きな街の空各所に出現した、漆黒の穴。そこから現れる黒き魔物たちと、闇のマナの侵食を受けて力を増大する強力な魔物たち。それらを同時に沈黙させるための作戦だった。
 アシミレイトの力を使い切るわけにはいかない。この後に控えているはずの戦いのために残しておかなくてはならない。
 だがセリオルの読みでは、シスララとセラフィウムの力はそれほど大きく消費しないはずだということだった。彼女がアシミレイトをしたのは、戦いのためではない。
「ソレイユ、いける?」
 主人の呼びかけに、飛竜が甲高い声で応える。
 ソレイユ。空色の小さな飛竜。その身に眠る偉大なる血――聖竜王の血脈。ドクンと身を震わせ、ソレイユはその血を目覚めさせる。
 セリオル、シスララ、そしてソレイユで話し合ったことだった。
 聖竜王の力。思い通りに操ることが出来れば、一行にとって絶大な戦力強化になる。しかしこれまでのところ、ソレイユの変身は偶発的なもので、明確に意図して行ったことは無かった。
 だが聖竜王という強大なマナ存在へと変身を遂げるということは、それなりのマナに関する条件があるはずだった。
 これまでのソレイユが聖竜王になった時の状況から条件を推測した。しかし如何せん例が少なく、不特定要素が多すぎてさすがのセリオルも明確な結論を導くことは出来なかった。
 ただ、恐らくではあるが、シスララがアシミレイトをしていることが重要な条件であることは間違い無いはずだと、セリオルは言った。
 ソレイユはまだ、完全に聖竜王になり切ってはいないのかもしれない。その身に聖のマナを蓄え、その量が一定の基準に達した時に、聖竜王へと変身することが出来るのではないか。だからこれまで、ソレイユは数度の変身しか行っていないのでは。それがセリオルの推測だった。
 聖のマナをソレイユが蓄える方法、それがまさしく、シスララのアシミレイトであるはずだ。
 前回の変身から、ほとんど時間が経過していない。シスララの、セラフィウムのアシミレイトによるソレイユのマナ蓄積量はどの程度のものか。その検証が出来ていなかったが、今日この場で、検証と本番が同時にやって来た。
「頑張って、ソレイユ!」
 飛竜が甲高く啼く。その咆哮の直後、ソレイユは変身を始めた。
 骨の軋むような音を立てて、ソレイユの身体が巨大化していく。鱗は空色から純白へ、そして更に黄金へと変化していった。威容を誇る大いなる竜。太陽の権化であるかの如き、神聖なる光の化身。聖竜王、ソレイユ。
「ソレイユ!」
 シスララは歓喜の声を上げた。この短時間でも、ソレイユは変身出来た。少しずつ、彼の地力も上がって来ているのかもしれない。それとも、セラフィウムの強力なマナが短時間でのマナ充填を可能にしているのか。
 いずれにせよ、検証は出来た。シスララがセラフィウムをアシミレイト出来れば、直後からソレイユは聖竜王になることが出来る。
 ソレイユはその大きな翼をばさりと羽ばたかせた。シスララが素早く跳躍し、その金色の背に飛び乗る。背後にモルボルの触手が迫っていたが、それはシスララが蹴った地面を叩いたに過ぎなかった。
 そのまま振り返らず、ソレイユとシスララは天高く舞い上がった。
 その途中、彼らはひとつの大きな影とすれ違った。その瞬間、シスララは見た気がした。白き竜の戦士、ファ・ラクの笑みを浮かべたような横顔を。
 白き閃光が走った。ファ・ラクが放ったそのブレスは、シスララが手こずっていたモルボルたちを焼き焦がした。
 ファ・ラクの許にも、スペクタクルズ・フライはやって来た。セリオルからファ・ラクへの伝言は、各所にいる闇に侵された魔物たちを、聖なるブレスで浄化してほしいというものだった。
 闇のマナと聖のマナ。相反するふたつのマナは、その特性も真逆だった。闇のマナは他者を侵食し、聖のマナは他者を浄化する。
 ファ・ラクのブレスはモルボルを侵していた闇のマナを消滅させた。黒く侵食された部位は元の色に戻った。だが闇のマナはすぐに復活するだろう。ファ・ラクはモルボルたちの前に降りたち、宣言する。
「醜き魔物どもよ……貴様らの暴虐もここまでと知れ!」
 竜の戦士に心強さを感じながら、シスララたちは空を飛ぶ。黒き魔物たちが襲ってくるが、シスララとソレイユによる聖のマナの攻撃の前には敢え無く散る以外の道があるはずも無かった。
 空を舞い、ふたりは黒い穴を目指す。
 セリオルからの伝言を、シスララは思い返した。
 ――我々の戦況を、ゼノアはどこかで見ているはずです。でなければこうも的確に、闇に侵食させた魔物の増援を送り込むことは出来ないはず。とはいえ肉眼でこの広い街の全てを見渡すことなど、出来るはずも無い。となると、考えられることはひとつ――
「あの黒い穴のどこかか、もしかしたら全部に、ゼノアの“眼”になっている何かがある!」
 黄金の竜の背に乗り、純白の竜騎士は空を舞う。ひとつめ、ふたつめ――黒い穴を巡り、その内部を覗きこんで何者かが潜んでいないかを調べる。穴に近づくたび、魔物たちの迎撃は苛烈になった。しかしシスララたちの敵ではなく、ほとんどがソレイユの攻撃の前に散っていった。
 そうして最後の穴が近付いた時、シスララはソレイユに言った。
「ねえ、ソレイユ……私、なんだか嬉しいの」
「……何が?」
 威厳ある聖竜王の声。しかしその口調は、いつもシスララと遊んでいるソレイユのものだった。普段は聞くことの出来ないソレイユの言葉。いつもと今とではその姿も声色も大きく異なるが、やはりソレイユはソレイユだった。
「うん……笑わないで聞いてね?」
「うん」
 襲いかかって来た黒き魔物をなぎ払い、シスララは言う。
「あのね……私、今、ソレイユの背中に乗ってる。ずっと一緒だったソレイユに乗って、空を飛んでる……そのことが、嬉しいの」
「……ふふ」
 ソレイユは小さく笑った。シスララは顔が一気に熱くなるのを感じた。
「わ、笑わないでって言ったのに!」
「ふふふ……あははは!」
 ソレイユは楽しそうに笑った。彼があまりに楽しそうなものだから、シスララは気恥ずかしさを忘れてしまった。ソレイユの笑い声――そういえば、そんなものを聞けるとは思ってもみなかった。
 黒い穴に、ふたりは接近していた。最後のひとつ。きっとあの中に、ゼノアの秘密がある。
 その直前、ソレイユは言った。
「……僕も、嬉しいよ。こうしてシスララと、空で遊べて」
 その言葉は、シスララの胸にしみ込んでいった。兄弟のように一緒に過ごしてきた19年。こんなことになるなんて、想像もしなかった。サリナたちと共に旅立って、本当に良かった。
「うん、そうよね……でもソレイユ、気を引き締めて! ここからはきっと、遊びじゃ出来ないわ!」
「ああ、わかってる!」
 最後の黒い穴の手前に到着し、飛竜と竜騎士は気勢を上げる。
 勢いをつけ、ソレイユは黒い穴の真下から垂直に上昇した。
 穴の中は闇で満たされていた。シスララとソレイユは純白の光を纏って穴に突入した。その聖なる光を恐れるように、闇のマナが逃げていく。しかし闇が晴れることはなく、穴はどこまでも漆黒だった。
 この穴の構造がどうなっているのか、シスララには想像もつかない。闇のマナの力から生み出されたマナ技術、インフリンジ――その応用だろうとセリオルは言った。空間を侵食し、異なる場所から瞬時に魔物を転送してくる技術。このまま穴の中を進めば、ゼノアの本拠地へ辿りつけるのだろうか?
 だがシスララはそうはしなかった。セリオルからの忠告があったからだ。穴はどんな構造になっているのかわからない。どんな危険があるかもわからない。迂闊に進み過ぎるのは、危険だ。
 それに、奥まで進むより前に、それが現れた。
「な、何なの、これは……!?」
 それは平板な硝子のようなものでできた、巨大な目玉のような機械だった。円盤状の硝子に姿勢制御と浮遊するためのものか、複雑な翅状の部品がいくつもついている。闇の中で見るからか、不気味な印象を受ける意匠だった。
「これが、“ゼノアの眼”……?」
「たぶん、そうだろうね」
 見たところ、攻撃性能を持ってはいないようだ。シスララは槍を握り、ソレイユは体内のマナを高める。
「ブレスで一気に片付ける。気を付けて、シスララ!」
「ええ、わかったわ!」
 ソレイユはマナを高めながら息を吸い込んだ。体内の聖のマナを攻撃性のエネルギーに変換していく。
 だがそこに、響く声があった。
「おや、そこにいるのはブルムフローラのご息女じゃないか」
「だ、誰です!?」
 ソレイユはブレスの充填を止めた。警戒を高める。誰だとは言ったものの、シスララはあれが誰の声であるか、知っていた。
「あはは。ご挨拶だね、シスララ・フォン・ブルムフローラ伯爵令嬢。僕が誰かなんて、君はとっくにご存知だろう?」
「……ゼノア!」
 声がどこから聞こえるのか、シスララは既に気付いていた。それは、目の前を浮遊する機械から聞こえてくるのだった。何かを通して声だけを届けているのだろうか、ゼノアの声はどこかひび割れ、不自然だった。
「あはは。そうだよ。そんな大声で呼ばれると照れてしまうなあ」
「……ふざけたひと」
 シスララは怒りの眼差しを向ける。この機械が“ゼノアの眼”であるなら、おそらく彼女の表情もゼノアには見えているだろう。
「ふふ……よくこの“眼”のことに気づいたね。まあ、実際に気づいたのはセリオルだろうけど」
「そうです。あなたの目論見は、既にセリオルさんに見抜かれています。間もなくあなたのところへ、サリナが辿り着くはず。罪も無いナッシュラーグの人々への悪行も、これまでです!」
「悪行? 悪行だって?」
 驚いたような響きを含むゼノアの声に、シスララの眉が顰められる。何をいまさら、白を切っているのか……
「ふふ。まあいいさ。今に君たちも知ることになるよ……ヴァルドーの妄執をね」
「ヴァルドーの妄執……?」
 ゼノアはその問いかけには応えず、“眼”の翅を大きく開いた。
「さあ、帰っておくれ。この“眼”だって僕の大切な研究成果なんだ。簡単に壊されるわけにはいかないよ」
「そんなことを言って、私たちが帰るとは思っていないでしょう」
「あはは。そうだね。じゃ、力づくでお帰り頂くとしよう」
 その声を最後に、局面は戦闘へと切り替わる。
“眼”はその翅に闇のマナを纏った。これもゼノアのマナ技術のひとつなのだろう。セリオルやフェリオが作った装置がマナストーンなどからマナを抽出するのを、シスララも見たことがある。それに似た仕組みなのかもしれない。
 漆黒の闇の中、同じ色に染まる翅を見せる“眼”に向けて、ソレイユが大きく口を開く。
「撃って、ソレイユ! ドラゴンブレス!」
 十分に充填された聖なる光線が、聖竜王の口から放たれる。極太の光は、闇に染まった竪穴を眩く照らす。
「あはは。無駄だよ、そんなのは」
「えっ!?」
 ソレイユのブレスは“眼”を飲み込み、その一撃で勝敗は決すると思われた。だが実際には、聖竜王の大いなる光は、邪悪なる“眼”を破壊するには至らなかった。
 それどころか、その威力の全てを反射されてしまったのだった。
 声にならない声を上げながら、ソレイユは急速機動を取った。背のシスララが振り落とされないように気を付けつつ、跳ね返されたブレスを回避した。ブレスは黒い穴の下方に放たれ、真下にあった民家を破壊した。
「おやおや。街を壊すのは悪行なんじゃなかったかな?」
「くっ……!」
 皮肉に満ちた声に歯噛みしながら、シスララはソレイユを回頭させる。
「カーバンクル様と同じ力……」
「ご名答」
 魔法の力を反射する力、ルビーの光。効果範囲は小さいが白魔法にも同様の効果のある魔法、リフレクが存在する。ソレイユのドラゴンブレスは圧縮、精錬した聖のマナを放つ攻撃。反射されてもおかしくはなかった。
 悔しがる竜騎士と飛竜に、ゼノアは嘲りの言葉を向ける。
「さあ、もう終わりかい? セラフィウムの力を使うわけにはいかないし、聖竜王のブレスも効かない。困ったねえ?」
 シスララは悔しさに奥歯を噛んだ。確かに苦しい。ソレイユの背の上では思うように立ちまわれない。シスララが“眼”に接近して攻撃するのは非常に厳しい。
「大丈夫だと、シスララ。ブレスが効かないなら直接破壊しよう」
「でも、どうやって?」
 ソレイユは一瞬、返答に詰まった。やはり打てる手は限られている――シスララの胸に、苦い絶望が広がっていく。
「何言ってるの、シスララ」
 その一瞬の沈黙は、すぐに破られた。ソレイユの声は、シスララが考えに詰まっていることに対する驚きを、多分に含んでいた。
「え?」
「シスララ。僕が聖竜王の姿になったからって、忘れてない?」
 やれやれとでも言いたそうなソレイユに、シスララは戸惑う。
「忘れていることは、何も無いと思うけど……」
「ちょっと頼むよシスララ。こんな基本的なことを」
 そう言って、ソレイユはその身体を大きく揺らし、その場でくるりと宙返りをした。シスララは突然の挙動に身体を振られ、態勢を崩す。
「きゃ!」
 短い悲鳴を上げ、気が付くとシスララは、ソレイユの背中で立っていた。それはごく自然な立ち方だった。バランスが良く、両足がきちんと体重を支えている。更に驚くべきことに、、シスララが地上での戦いの際に行う、ジャンプ攻撃に入る時の姿勢になっていた。
「シスララ、忘れないで」
 ジャンプの姿勢。それはシスララが攻撃を仕掛けようとして取った姿勢ではなかった。ソレイユの動きが、シスララにその姿勢を取らせたのだった。それも、ごく自然に。シスララに意識させないほど自然に、ソレイユがそう仕向けたのだた。
「僕たちは、一心同体だ。ふたりでひとりの、聖なる竜騎士だ。そうだろ?」」
 純白の光を帯びた精霊銀の槍、シュヴァルツクーゼを握り、シスララは卒然とした。
 そうだ。私とソレイユは、一心同体。ふたりでひとり。そんなことも忘れて、私はソレイユの背中に座り、そのままで戦うつもりでいた。聖竜王の力を使って、機会があれば腕で槍を振って、戦おうとしてしまっていた。聖竜王の強大な力と、巨大化したソレイユの体躯とに、知らぬ間に寄りかかってしまっていた。
 聖竜王になっても、ソレイユはソレイユなのに。そんなのは……私とソレイユの戦い方じゃ、ないのに。
「……ええ、そうよね。ごめんなさい、ソレイユ」
「ううん、いいんだ。僕が大きくなったから、シスララはちょっと驚いただけさ。ちゃんといつも通りの戦い方が出来るよ」
「そうね。むしろソレイユが大きくなって、私のジャンプをもっと助けてくれるはず」
「うん。シスララの飛ぶ先で待ってる。だから、いつもみたいに飛んでよ、シスララ!」
「ええ!」
 胸に光が満ちるのを感じる。光はシスララに勇気をもたらした。純白の鎧を纏い、美しい聖なる光を纏った竜騎士は、聖竜王の背の上でステップを踏んだ。マナの扇が翻る。セラフィウムの鎧がしゃらんと鳴り、純白の踊り子のマナが舞う。
「花天の舞・オーラジグ! セーバージグ!」
 光の粒が舞い踊り、シスララとソレイユに力を与える。攻撃力向上と、命中率向上。全身に力が漲り、視界がクリアになって“眼”の動きが良く見えた。
「ようやく、準備完了かい?」
 ゼノアの皮肉に満ちた声も、もはやシスララに不快感を与えなかった。シスララの心は、揺るぎない自信と燃えるような勇気に満たされていた。
「ええ、お待たせしました。そして覚悟しなさい、ゼノア!」
「おやおや、怖いこわ――」
 ゼノアが言い終わるより早く、シスララは飛んでいた。その全身が槍と化したような鋭い攻撃が、“眼”の翅の1枚を傷つける。本体を狙ったが、ゼノアが素早く“眼”を操作して動かしたために照準がずれた。
「……礼儀を知らないお嬢様だ」
 不機嫌さを乗せたゼノアの声とともに、翅から闇のマナで形成された玉が放たれた。聖のマナと闇のマナは対立の関係にある。互いが互いの弱点であり、互いが互いに優勢となる関係だ。闇のマナでの攻撃は、シスララにもソレイユにも大きなダメージを与えることが出来る。
 だがそのマナの玉がシスララたちに命中することは無かった。それどころか、かすりもしなかった。
 空中で、シスララとソレイユはまさに一心同体の動きを見せた。シスララが飛んで槍を繰り出せば、ソレイユは恐るべき機動力でその先へ回り、シスララの着地点となった。シスララは再び飛び、ソレイユは爪や翼によって“眼”への攻撃を仕掛けつつ先回りをした。その動きは純白の光の軌跡を生み、やがて目まぐるしい攻撃が引いた光のは大きな光の立体を形成していった。均整の取れた立体16角形。その中心にいる“ゼノアの眼”、に、為す術は無かった。
「ば、馬鹿な……空中でこれほどの機動が取れるなんて……」
 ゼノアの声には畏れと諦めがあった。“眼”はマナの玉による攻撃を繰り返したが、その度に天と地ほどある機動力の差を見せつけられた。慌ただしく回転しながら敵の居場所をその“眼”に映そうとしたが、それは完全なる徒労に終わった。
「次で決めるわ、ソレイユ!」
「ああ!」
 力を込め、シスララはソレイユの背を蹴った。飛竜と竜騎士、ふたりの息が合って初めて繰り出せる技、竜技。シスララは自らのマナをシュヴァルツクーゼに伝える。セラフィウムのマナとシスララのマナが融合し、槍は輝きを増した。シスララが飛ぶ。
「竜技・スパイラルクルセイド!」
 シスララは槍を回転させながら繰り出した。光の槍は闇の眼を激しく破壊し、さらに光の刃を多数生み出して“眼”を傷めつける。更にそこへ、ソレイユの恐るべき力を秘めた爪と翼、尻尾による乱撃が加えられた。光の粒が舞い踊る美しくも凄惨な攻撃の前に、“ゼノアの眼”は帯びていたマナを散らした。沈黙する機械の向こうから、ゼノアの悲鳴が聞こえるようだった。